旦那の弟ちゃんには早朝に我が家に来てもらい、一緒に大阪へ向かった




私の母も朝早いのは苦手なのに、ボサボサの頭で早朝から来てくれ、娘の面倒を見てくれた




車で7時間程かけて大阪の病院に到着




受付に行き、手続きを済ませ廊下で待っていると、電話で話した予約担当の女性が先に現れた




とても親身になって話を聞いてくれ、力になって下さった方なので、お会い出来て本当に嬉しかった




想像通り、とても暖かいお人柄の方と見受けられた

嘘のない笑顔に勇気付けられた




支持された通り、待ち合い室で待つと、しばらくして担当の先生が現れた




先生はこの病気について説明して下さった


私も旦那も弟ちゃんも、先生の話を聞き漏らさないように必死にメモを取った




Kの症状を資料で確認し、私たちからも今の状態を伝え、病院からはまだ放射線の段階ではないと言われているが、このまま化学療法のみの治療で病気が進み、いざ放射線治療を開始しても、既に手遅れとなってしまわないかということを不安に思っていると伝えた




先生は、テモダール単独では悪くはなってはいないとしても、良くなってもいない

効果があるとしても現状維持で効いていないと言える

そもそも、この病気にいいものが見つかっていない




以前受け持った患者の女の子には、シスプラチンとエトポシド(抗がん剤)で治療したが効果がなく、一ヶ月後、放射線に踏み切った




放射線量36グレイとテモダールの化学療法の併用開始



症状が落ち着き、体の麻痺も改善

普通に学校に行けるようになり1年半通ったが、1年7ヶ月後に腫瘍が大きくなった




外来でテモダール、エトポシドを内服したそうだが効果がなく、その後、残念ながら亡くなってしまったそうだ




今のKの状態を考えると、もう化学療法のみの治療はそろそろ限界で、放射線治療を始める時期に来ている
あんまりのんびりはしていられない




長く生きられる可能性は低い病気

放射線をしても、効かなければ半年、もしくはもっと短いかもしれないし、効いても2年程しか生きられない




テモダールによる二次癌の恐れは、白血病、骨肉腫などだが、これは5年以上が経過した場合




グレード3にはシスプラチンとエトポシドの効果を期待したが、結果的には成功ではなかった

ニドランは使わなかったが一定の効果が期待出来る可能性あり




インターフェロンベータはグレード4の場合も効果があったが、無理の無い範囲で使う




腫瘍が造影されないのは、血管が破れていないということ

ニドランやテモダールは、普通の血管も通る薬

(通常の抗がん剤は、脳の中にある血液脳関門で遮られ、患部にまで届かない為、効果が出にくい)




放射線の量は多ければ多いほど効果が期待出来るが、50グレイは限界の線量

しかし、救命ということを考えれば仕方がない




以前受け持った患者の女の子には、後遺症のことを考え、36グレイ止まりにした



放射線を当てて一ヶ月くらいすると吐き気、食欲低下、眠気出てくるが、それを過ぎると落ち着いてくる




効果が出るまでは、照射から10日から2週間かかる




その他、今、飲ませているステロイド剤、デカドロンについての心配については、副作用についての説明を受け、症状が良くなってくれば少しずつ減らしていくことが出来ると聞いた




先生は、やたらに専門用語を使ったりはせず、遠回しで回りくどい言い方もなく、言いにくい事もストレートに、分かりやすく話して下さった




質問に対しても言葉を濁したりせず、こちらが聞きたいことをはっきりと伝えて下さった

東京に戻ってからも、質問があれば電話してくれても構わないと言って下さった



少々つっけんどんな印象も受けたが、モヤモヤしていたことがスッキリし、正面からこの病気と向き合う気構えのようなものが出来たような気がした




終わった後、セカンドオピニオンの受付担当の方がまた来て、暖かい笑顔で力強い言葉をかけて下さったので、思わず涙が出そうになった




大阪の方々の人柄が大好きになってしまった

みんなにお世話になってしまったし、病気の子を残して来るには遠くて大変だったけれど、思い切って大阪に来て本当に良かった




お笑い大好きなKだし、大阪のこの病院の方が合ってるかもしれないなとふと思ったけれど、それはどう考えても無理があるし、同じ治療をするなら場所はどこでもいい事になる




帰りの車の中では、旦那や弟ちゃんと涙なみだで色々な話をした

早く帰ってKの顔が見たかった