艶友の寿々たんが、東京で咲き誇る桜を見て素敵なお話を書き上げました。


それがこちら、 <桜> ~徳川慶喜~ byすず日和


切なくも綺麗な物語で、ぜひ沢山の人に読んでもらいたい!(ノω`*)


で、何度も読み返した結果、これが秋斉さんだったらどうなるんだろう、と思い、

思い続けた結果、自分で書いてみるという暴挙に出ました。←なぜそうなるwww

いつも「うへへぐへへ」とか言ってるブログで、この記事は大丈夫なのかwww

しかも本編に沿ってんだか沿ってないんだか、微妙な仕上がり(。゜ω゜)

読んでやろうという心の広い方は、細かいとこ気にせずでお願いしますwww


寿々たん、素敵な物語とコラボさせてくれて本当にありがとうドキドキ らぶドキドキ



【5月16日追記】

艶友の絵師・はまちちゃんが、わたしのお話からイメージを湧かせて、

素敵すぎるイラストを描いてくれました!(*´∀`*)
あまりの嬉しさにニヤニヤしながら、おこがましくも挿絵にさせて頂きました。

はまちちゃんの、好きなもの満載のブログはこちら、 pray-祈り-


はまちちゃん、ありがとうドキドキ 太夫感激ドキドキ





たぶん、艶がの事しか書かないブログ♪


桜の花びらが舞い散る音で目が覚めた。

ここ最近、眠りの浅さには悩まされるばかりだ。

「花びらが散る音やなんて、あらしまへんやろ・・・」

まだ薄暗い部屋の中、自嘲気味に呟く。

縁側を彩る薄紅色の欠片に目を向けると、あの日の光景がまざまざと脳裏に蘇ってきた。


いつも思い出す、いや…思い出すようにしている、光景だ。

満開の桜、無邪気に向けられる笑顔、幸せというものを感じられたあの日。

あの日からずっと、眠りにつく前に、明日もこの幸せを忘れないでいられるようにと、頭の中で反芻している。


忘れないように、彼女の一言一句を。

忘れないように、彼女の一喜一憂まで全て。


色づいた頬の温度まで思い出せそうになったところで、ようやく眠りに落ちる。

短い、うつつのような眠りに。空白になった心を手放したまま。



「秋斉さん!ここですか?」

咲き誇る桜並木の間を縫うように駆けて、彼女が振り返った。


「そうどす。…そないに走り回って、犬ころやないんやから」

「いっ…。もう!あんまりキレイだから感動してるんですよ!」

無意識に膨らませた頬が可愛らしくて、思わず顔がほころぶ。

そんな仕草が男をひどく惑わせることに、この娘は気が付いているのだろうか。

緩んだ口元を扇子で隠して、満開の桜に目を向けた。


「ここの桜は、京で一番の穴場どす。人の手が入っとらん分、ありのままの美しさを楽しめますさかい、」

「あんさんによう似てはると思うたんどす」

そう告げると、舞い落ちた花びらをすくう掌がぴたりと止まった。


「わたしに…?」

「あんさんは、何もせえへんでも綺麗や。紅も、簪も、何にもなくても」

「秋斉さん…」

「だからこそ」

頬を赤らめて立ち尽くす彼女の顎をすくって、そっと上向かせる。


「その全てを、髪の毛から爪の先まで全て」

「俺の色に染めたくなるんだ」


たぶん、艶がの事しか書かないブログ♪


薄く開いたままの唇に口付けると、熱をたたえた舌先が更に熱さを増した。

掌にすくわれた花びらがこぼれ落ちて、吹きよせた風に舞い上がる。

一瞬、彼女が桜色に彩られて、自分以外の誰かに染められてしまうような、馬鹿な考えが頭を過ぎった。

不安をかき消すように強く抱きしめた腕の中で、彼女が微笑んだ。


「秋斉さん…わたし、今日こうして一緒に桜を見られたこと、ずっと忘れません」

「おばあちゃんになっても、この景色も、秋斉さんにもらった言葉一つ一つまで全部覚えてて、」

「秋斉さんを、びっくりさせてあげますからね」


「…おおきに」


彼女は嬉しそうに笑うと、指きりをするように、細い小指を差し出した。


「これからも、春になったら連れてきてくださいね。わたし、季節が巡るのを楽しみに待ってますから」



指きりを交わした自分の小指を眺めていると、差し出された細い手が見えるような気がした。

そんな時には苦しいほど、彼女が傍にいない現実を思い知る。


あれから、彼女が心待ちにしたように、季節は巡り春になった。

今年もきっと―――変わらずに桜は咲き誇るのだろう。

記憶の上書きに怯えて、あの場所に足を向けられずにいる自分にもほとほと嫌気が差す。

けれど、彼女を未来に帰したあの日から、心の空白は埋められないままだ。


間違ってはいなかった。

今後、世の中が今以上に荒れる事は目に見えていた。

自分が慶喜に付いていくと決めた以上、不安にさせ危険に巻き込む可能性は高くなる。

たとえこの手から離しても、彼女の命を、笑顔を守ることができたらとそれだけを考えた。

間違ってはいなかったと、思いたい。けれど―――

彼女が望まぬ事をしたかもしれない今、全ては言い訳に聞こえてしまうのだろうか。


縁側に出て、朝の冷えた空気に目を閉じる。

「おばあちゃんになっても、て…」

思いもよらない言葉に、うまく返せなかった自分を思い出し、苦笑した。


彼女の弾んだ声、掴んだ着物に寄る柔らかな皺、柄にもなく高まった自分の体温も。

一欠片も忘れていないと知ったら、彼女は驚いてくれるだろうか。

変わらず咲き誇る桜を眺めながら、覚えていてくれたんですね、と、

あの頃は大変でしたね、と笑ってくれるだろうか。

そんな彼女を抱きしめて、共に生きていける幸せを、ただ感じあえたら。


絵空事に浸るほど心が弱る気がして、頭を振って立ち上がる。


忘八、と呼ばれて今まで生きてきた。

仁も義も礼も、八徳全てを失った者だと蔑まれてきた。

それでも、記憶さえ、彼女との記憶さえ失わずにいられるのならそれだけで―――



「あんさんとの日々を、忘れたことはありまへんえ―――」


薄闇の中、揺れる桜に微笑む。


遠く離れた場所でも―――

愛する彼女が笑顔で、桜を見上げていることを願って。

愛する彼女の笑顔を、揺れるその姿に重ねながら。




雪の結晶 キャピコ 雪の結晶