これは理想のお話しである。


昔、理想の意味を知らないわたしは、友達に尋ねた。
「理想って、なあに?」


友は空を見て言った。
『こんなふうになったら素敵だな~と思うことだよ。』


ふうん、理想。


理想を知ってから、理想を抱いて過ごす事の良し悪しについて考えを巡らせてみた。


理想を持てば、理想を叶えるために努力をするし、向上心が生まれる。

理想がなければ、私利私欲に惑い、人を陥れることがなくなる、平穏か。



良し悪しをふまえて、自分の理想を思った。

簡単に叶うことなら、好きなものばかり食べてハッピーに過ごす。
これなら誰にも迷惑はかからないし、数日くらいなら体を壊したりもしない。

もっと難しい理想なら、
海の近くに別荘がほしい。さざ波の音をきいて、静かにしばらく暮らしたい。

理想、理想…
次から次へと、叶えたい理想は浮かんだが、かなり現実味がないものが多かった。


きっと、理想を追えばおうほど、大変な難関が現れる。


ならばわたしは、もっと楽に生きたい。
身近な小さい幸せが、たくさんあるだけでもいいじゃないか。
楽である事を願うことが悪ではない。怠慢でもない。


そこにしかない、幸が、必ずある。
ささやかな何かが。