円覚寺のお坊さんが書いた記事の抜粋です。
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もう二十数年も前に読んだ、ある和尚の記事を思い起こします。
こんな話です。
その和尚が、小学三年の時、結核にかかり休学して病床に伏しました。
当時は、まだ結核が死の病だったころだと思います。
その和尚もまた、幼なごころに「このまま死んでしまうのでは」という恐怖を感じたといいます。
時に暗闇の古井戸に落ちていく夢を見て悲鳴を上げて目を覚ますこともあったようです。
そんなとき住職を務めるお父様が優しく背中をさすりながらこんな風船の話をしてくれたというのです。
「赤い風船が針で刺されて破れても心配はいらない。
中の空気は外に出て行き、お空の空気と合流するだけ。
いのちも同じで人は死んでも終わりにならない。
大きないのちと合流しまた新しいいのちが生まれる。」
という話しだったのでした。
そこで和尚は
「人が死に直面したとき、いのちとは何かを真剣に考える。
死は肉体を滅ぼすがいのちは永遠ということに気づく人も多い。
すると死の恐怖感から解放されるんです。」と書かれていたのでした。
思い出しては泣いてばかりでしたが少し心が暖かくなりました。