取り敢えず、お茶にしようと言う話になった。
お茶をしながら今後のことを決めよう、ということにしたのだ。

店はタカが知っていた。

「なんでも、すごく美味しいらしいよ。しかもパティシエが超イケメンなの!
この前テレビでやってたの。」

ということだった。

主婦業の傍らワイドショーはしっかりチェックしているらしい。
イケメンに興味は無かったが、それでも他にあてが無いのでそこに行くことにした。



店はすぐに分かった。
近づくと、やたら女性の多い一角があったのだ。
運よく団体客が出た後で、めしょーとタカはすぐ席に案内された。

向こう側にガラス張りの壁があって、数人のパティシエが忙しそうに手を動かしていた。
その中に一際目を引く男がいたのだ。
帽子をかぶっていてもわかるサラサラの金髪、白く美しい肌、伏せた目からのぞく瞳は萌える山の様に深く美しい緑色だった。

「マサキさんの作ったケーキがいいわよねぇ。」

「本当本当。そのために来たんですもの。」

近隣のマダムがひそひそと囁き合う声が聞こえた。
それでもめしょーたちの所に筒抜けだったのだけれども。
とはいえ、彼女たちの気持ちも分からないでもない。
パティシエ・・・・・・恐らくはマサキという名である彼は、それほどまでに美形だったのだ。



「ハハ・・・確かに美形。ハハ・・・」

「だよねー。」

ただ、2人はそれ以上何も思わなかった。
だから、向かいの席のマダムのように「私、マサキさんに彼女がいるのか突き止めようと思ってるの。」なんて考えもしない。
2人は大人しくケーキを食べて紅茶を飲んでいる。

「あ、そうそう。」

タカが手を止めた。

「ここでさぁ、武器を調達しとこうかと思って。さっきの栗オバケ見たいなの出てきたら困るし。」

「ハハ・・・それいいね。カンベ市ならきっと、ハハ・・・そこそこ大きな武器屋もありそうだし。」

「でしょ?今後のために。」

取り敢えず、この後武器屋に行くことが決まった。
他にも

1.野宿はしない。ホテルをとる。

2.食料は基本現地調達(荷物を減らすため)

3.服も極力現地調達(荷物を減らすため)

4.盗賊対策で、持ち歩く現金を減らす。ATMとクレジットカードを活用

等の旅の基本方針を決めた。

こうなれば完全に「冒険」ではなくて「旅行」である。
しかもやたら金のかかるプランである。

そんな細かいことを気にしない2人は、会計を済ませると早速武器屋のある、街の裏通りへ向かった。