今日は朝から哲と肇と高橋と一緒にぶどう狩りに行った。
本当ははるなさん(同じ学科の女の子)が来る予定だった。
そして、本当は高橋は来る予定ではなかった。
昨日、肇がたまたま高橋と会ってしまい、今日のことを話してしまったらしい。
その時、はるなさん(高橋の今狙っている女の子)も来るということも話してしまったらしい。
肇も話した後すぐに「やばい」と思って、「朝早いし遠くまで行くんだよねー」と大変だよアピールをしたらしい。
それでも高橋は「明日夜忙しいんだけどなぁ」と言いながら、「でも俺寝なくても全然大丈夫な人だから」と言って、集合時間と集合場所を聞いてきたらしい。
「寝なくても~」の話はたぶん嘘だと思う。
「夜忙しいんだけどなぁ」は絶対嘘だと思う。
というような昨日の出来事が、肇から哲とはるなさん(哲と肇と僕と一緒のLINEのグループがある)と僕に回ってきた。
結局、はるなさん(高橋のことをものすごく嫌っている)は熱が出て来られなくなったと今日の朝僕から高橋に伝えた。
高橋は「まじかよ!何で!?」と、僕に怒鳴ってきた。
僕はもう一度「熱が出て来られなくなった」と伝えた。
高橋は「意味ねぇし」とか「何で来ねぇんだよ!」とかぶつぶつ言っていた。
もう一度「熱が出たからだよ」と言おうとした僕を止めてくれた、そんな肇が僕は好きだ。
しばらくして「俺も行くのやめようかなぁ(笑)」と高橋が言い出した。
みんな何も言わなかったから、3回くらい言ってた。
「嘘だよ、行くよ!暗い顔すんなよ!(笑)」と高橋が笑った。
惜しかった。
結局4人で農園へと向かった。
農園に着くと、優しそうなおじいさんが出迎えてくれた。
僕たちはおじいさんに、ぶどう狩りのコツとこの農園でのルールを教わった。
そして2人組のペアを作るように言われた。
僕と哲、肇と高橋のペアになった。
高橋とのペアを肇に押し付けてしまう、そんな自分が嫌いだ。
みんなぶどう狩りは初めてだったので、とても楽しみだった。
ペアごとにぶどう狩りをしていると、遠くでおじいさんの怒鳴り声がした。
僕と哲が言ってみると、顔を真っ赤にしたおじいさんとうつむいている肇と高橋がいた。
肇の服は紫色に染まっていた。
何があったかは大体わかった。
肇は時折謝りながら、高橋は不貞腐れた顔でずっと怒られていた。
僕は、22歳にもなってこんなに大人に怒られる同い年を見て悲しくなった。
何より、服を汚している方の肇の方が強めに言われてるのが悲しかった。
かわいそうな肇と、身体が心配になってくるほど怒鳴っているおじいさんのために、僕と哲も一緒に謝った。
まだぶどう狩り開始から5分も経っていなかったが、僕たちは帰ることにした。
帰りの車の中、高橋はずっと「こっちは客だぞ!」とか「あいつ俺らの何だよ!?」とか文句を言っていた。
一通りおじいさんへの文句を言い終わると、最後に「何ではるな来ねぇんだよー」と悲しそうな声を出した。
紫色に染まり理不尽に怒られても我慢した肇に免じて、僕も哲も何も言わなかった。
途中、友達と歩いているはるなさん(友達も高橋のことをものすごく嫌っている)がいたので、僕は高橋に必死に話しかけ、窓から目を逸らさせた。
誰に気を遣っているのかわからなくなってきた。
友達って難しいなぁと思った。
