最大の事件 | 幸せとは何ぞや

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日頃のことを呟く雑記ブログです。

 

最初に働いていた精神科の病院では様々な事件に遭ったのですが、その中でも一番印象に残っているのは金銭がなくなるという事件でした。

 

病院などに限らず、割とどこでも起こりえることだとは思います。更衣室に置いておいた財布からお金がなくなった、など。

鍵をきちんと掛けるなど対策していれば良い話なのですが、これが鍵を掛けてなかったりそのまま鍵が刺さったままだったりするんですよね。最も悪いのはそれに託けて盗みを働く人なのは当然ですが。

悲しいことに結構あることですよね。

 

しかし、何故それが今までで体験した最大の事件だったかというと、警察が介入する事態にまで発展し、スタッフは事情聴取や指紋の採取まで行うことになったからです。

 

始まりは若い男性看護師が昼休憩中に「金がない」と一言、言ったことからでした。

それに続くように他にも2名程のスタッフが「実は私も…」と言ったことで病棟内はパニックに。

 

師長からは全員すぐに持ち物がきちんとあるかの確認を指示されました。

正直、私は財布にいくら入ってるかなんて把握していなかったので確認しても分かりませんし、大きな金額は職場に持ち込まないので「面倒だなあ」と被害者には悪いですがぼんやり思っておりました。

 

最初に申告した男性看護師は、休憩室に鞄の口を開けたまま財布が見える状態で置いていたようで、素直に同情できなかったのもありました。

 

結果、スタッフ3名の財布からお金が抜き取られていたようですが、私のように「いくら入れてたか正確にはわからない」というスタッフもいたので本当のところは分かりません。

 

 

 

金銭がなくなるというのは、最初に言ったようにどこでもまあ、珍しいことでもないので

「結局はなあなあで終わるんだろうなあ。病院だって大きなことにはしたくないだろうし。これからは休憩室の出入りを2名以上で行うとか、必要以上の金銭は病棟に持ち込まないとか注意されるくらいだろう」

と思っておりました。師長は何よりも面倒ごとを嫌う人でしたし。

 

しかし予想は裏切られ、警察官が呼ばれることになったのです。

あまり詳細は分かりませんが、なあなあにされることに反発したスタッフが直接師長や更に上層部にまで掛け合ったのでしょう。

 

私はその日、運悪く日勤で出勤していた為、退勤時間を大幅に超えて指紋採取や軽い事情聴取を受けることになりました。

家庭のあるスタッフは出来るだけ優先して先に済ませるように配慮されていたので、独り暮らしの私は最後の方になるのは目に見えていました。

 

指紋採取は確か、両手の指に粉をつけて紙に押し当てるというものだったと思います。

事情聴取は「発覚時間前に一人で休憩室に入っていくスタッフはいなかったか」や「金銭で困ってるスタッフに心当たりはないか」というようなことを聞かれたと思います。

 

またその日だけではなく、改めて後日にも聴取を受けた覚えがあります。

 

 

正直、心当たりのあるスタッフは一人おりました。

確かめてはないですが、ほとんどのスタッフがその人の名前を挙げたと思います。

 

結局は、散々指紋採取や事情聴取などに協力した甲斐もなく自然消滅的にその話題は風化してしまいましたが、今でもその時のことは強烈に記憶として残っています。後に発覚したことなども含めて。

 

詳しくはまた次回に書いていきたいと思いますが、人間の怖さというかそういうものに触れて背筋が凍る思いをしました。

よく事件などが起こって犯人は普段どんな人か?といった質問に「そういう人には見えなかった」などと聞きますが、心境は正にそれで、どこからが嘘で何が本当なのか、あの時ほど人に対して恐ろしさを感じたのは初めてのことでした。