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この世の中には、ひとつの価値観だけでは割り切れないものがある、そう思いませんか?

巷で人気の医療ドラマ、ドキュメンタリー、ヒューマン小説、あらゆるところで扱われているのは「人として正しい」と思われている事柄だけ。

例えば安楽死。ある人にとっては「人の命を他の人間が奪ってはならない」というのは理想論であり、きれいごとです。身近な人間の死を実際に体験したことのない者が並べるきれいごと。身近な人間が悩み苦しみながら人間らしさをすべて失って最後は泡をふきながら死んでいく。これじゃまるで動物の屠殺と同じじゃないか。

しかし、その身近な人間の死を体験したことのない人は思うでしょう。それでも、人を殺すのは犯罪だ。本人がどんなに望もうが、家族がどんなに望もうが、人間の命を奪えるのは自然だけ。他の人間が命を断つことが認められる社会は「法」的に間違っている。

まさにひとつの価値観だけでは語れない典型例です。


考えるところ、これは患者の意思がすべてではないでしょうか。なぜなら、自分の生き死にを決めることができるのは自分だけだからです。むしろ自分の意思を他人に曲げられることの方が、患者にとっては不愉快なはずです。後者の立場の人は勘違いしているのかもしれません。気づいていないのかもしれません。ある人間の命を他人が奪っているのではなく、ある人間の命が絶たれる瞬間を代行しているだけなのだということに。