レンブラントとその時代の金融システム10 グノーシスの薔薇 | 旅行、美術館、書評

レンブラントとその時代の金融システム10 グノーシスの薔薇

聖骸布とイコン   グノーシスの薔薇/デヴィッド マドセン より

レオの従兄弟のジュリオ(彼も枢機卿であることは言うまでもない)は、いつも
教皇庁をうろうろしていて、さらなるおこぼれに与ろうと、レオにおべっかを使って
いる。これは秘密なのだが、彼は本当はレオを軽蔑している。
え、秘密ならどうして知っていのかって? ・・・
ジュリオが、教皇庁の宿坊の廊下で聖下の甥であるロレンツォと話し込んで
いるのをつい聞いてしまったのだ --
・・・
ジュリオとロレンツォはレオを使い捨ての収入源のようにみなしているのは明らかだった。
・・・
従兄弟の偽りの献身にまるめこまれているからといって、レオが騙されやすい
お人好しだなんて考えないでいただきたい。
・・・

最後に商人は、聖母が祈る姿を描いたこのイコン、実は福音書の著者ルカ
その人の手になるものだと噂されているのです、と告げた。
・・・

「聖骸布というのを見たことがあるかね?そこに彼の姿が現れたという」
「いえみたことがありません」
「そこでは、イエスの髪から額の真ん中にかけて、滴った血の跡があるのだよ。
おそらく茨が彼の頭に強く押し付けられたせいで流れ出した血ではないかな。
聖なる似姿の中にこの血痕が、どうしだか東方のイコンでは、間違って髪のひと房として
描かれている。
そのせいで、それ以降に描かれた主の像には全て、この髪の房が見られるようになった。
つまりこれは後世になってから東方で生み出されたスタイルというわけだ。
私たちの見た、由緒正しいと吹聴されていたあのイコンにみ、この髪の房が描かれていたろう?」


ジュリオがレオの後にローマ教皇になったけれども、例の、ローマ略奪にあった。
有名なのが豪華王ロレンツォで、
(メディチ家の他のロレンツォと区別する意味もあって、ロレンツォ・イル・マニーフィコ Lorenzo il Magnifico とも呼ばれる。実際、この本の中でもこの名で呼ばれている箇所がでてくる)
上ででてきたロレンツォはレオの兄のピエロの息子。





聖骸布というと、
聖骸布血盟 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)/フリア・ナバロ

マンディリオンというイコンのもととなった思われものがあったそうですが、
これらの争奪戦がこれでは小説として描かれていて、ただ、最後はもう
ひとつだったような憶えがあります。







聖骸布とは
http://www2.ocn.ne.jp/~g-compri/mpage1.html
ウラジーミルの生神女