今日は、フランスの企業、アレバを扱おうと思います。
フランスは、原子力発電が約8割を占める原子力大国で、その最大手がアレバです。
そのアレバが、不振にあえいでいます。
フランス政府はアレバの雇用を守るため、救済に乗り出す方針ですが、連日報道されるアレバの動向は、世界の注目を集めています。
アレバの経営が不振になった背景は2つあります。
まずひとつが、福島第一原発の事故です。
この事故により、原子力発電への不信が募ったこともそうですが、もうひとつ、日本をはじめ、世界中での事業機会が大きく縮小したこともあります。
そして、背景のもうひとつが、最新鋭の原子炉に相次いで問題が発生したことです。
最新鋭の初号機は、フィンランド南西部のオルキルオト島というところで建設途中ですが、設計ミスや部品の強度不足などが相次いで発覚。
2009年に完成する予定が大幅にずれ、2018年に完成予定になりました。
この最新鋭の原子炉は、民間航空機の衝突にも耐えられる強固さがあり、仮に電源が失われても、自動停止する安全設計なのだそうです。
この安全性を売りに、2番目の建設も請け負っています。
場所は、フランス北西部フラマンビル。
しかしここでも強度に問題が発生し、完成予定が2017年にずれこんでいます。
そのような状況のアレバは、原子力分野の雇用約40万人をどうするか、困っている状態です。
そこでフランス政府が、フランス電力公社にアレバを救済させる方向で詳細を詰めているとされています。
雇用を守らなければ、ただでさえ低い政権支持率や、高い失業率に批判が集まるためですが、これが、難航しているもようです。
アレバ側は人員を減らしたいと考えており、最大6000人の人員削減を労働組合と協議すると、7日に発表しました。
対して労働組合とフランス政府は、「強制的な解雇はすべきではない」と反発しており、協議は難航が予想されます。
福島の事故後、世界的に原発離れが進んでいる昨今。
この世界企業アレバでさえ、今後の行方が分からなくなってきました。