空楽園-kuutopia- -7ページ目

極貧少女【1、事の始まり】

※これは事実に基づいたフィクションです。


【登場人物】


■リカ(仮)

社長令嬢。

父がカルト教団へ入信した為、ある日極貧少女に。


■私

ごくごく普通階級の娘。


■トキ(仮)

リカの彼。

これまた会社重役の息子。




*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



大学1回生の夏。

バイトを始めた。


そこで出会ったのがリカである。


大きな薄茶色の瞳をした、

小柄な美少女。

父はコンサルタント系会社の社長。

所謂社長令嬢だった。



大学内では有名だった高級学生マンションに住み、

バイトは社会勉強の為だという。



これだけ聞くと嫌味な人物を想像しそうだが、

彼女は責任感が強く、

傲慢なところも無い、

女性からも男性からも好かれる、

魅力的な少女だった。



某大手外食チェーン店でのバイトだったが、

お客さんの中にファン倶楽部が発生した。

それほどの美少女でもあった。



当時自分が付き合っていた彼氏と、

彼女の彼氏が親友同士だった事もあり。

1番近しい友人だった思う。



残念極まりない事ながら、

お互いの彼氏が浮気が止まず、

いつも週末に飲みに行っては愚痴を溢し合った。







そんな他愛も無い日々の中。

彼女の生活スタイルが一変する日が来た。



朝6時から店に入り、

11時までバイト。

その後大学へ行き講義を受け、

夜7時からで閉店まで働く事になったのだ。



余りに過酷なスケジュールに、

日々疲れが抜けないのが目に見えてわかる。

元から細い方ではあったが、常軌逸して痩せていくのだ。

講義も寝てばかりいると、彼女の彼トキから聞いた。

訳を問う私に、彼女がポツリとこう言った。



「お金が・・・いるの。

でも、大学辞めるわけにはいかないんだよね」



腑に落ちなかった。

実家の会社が倒産でもしたのだろうか。

それとも資金繰りに困っているのだろうか。



そう直接的に聞くことはできなかった。

代わりに。



「お家・・・何かあったの?」



その時あたしの頭にあったのは、

そんなごく一般的に起こり得る事だけだった気がする。



彼女の返答は、

今すぐ言える事ではないから。

しばらく時間が欲しいというものだった。



今まで散々2人で遊びに行っていた事も、

彼女の多忙でキャンセルが相次ぐ。

私は私で、彼氏との事を優先するようになった。



バイトで顔を合わせるだけの日々が過ぎていた、

ある日。

リカの彼トキから電話が架かって来た。



「俺じゃあ助けてあげられない。

家庭の事も自分の責任みたいに思う子だから、

無理矢理にでも聞いてあげてもらえないかな」



「聞いたら答えてくれるかな」

以前少し待って欲しいと言った彼女の顔が浮かぶ。



「・・・・・多分、としか言えないけど」




週末。

彼女が唯一バイトを単一でこなせるという日を聞きだし。

家に行きたいと持ちかけた。

それに対して彼女からの回答は、

「家、電気つかないの」



そこまで・・・。

煌々と明かりの灯った、彼女のマンションの廊下を思い出す。

あの壮観に電気もつけずに過ごす孤独も。



「・・・じゃあ私の部屋においで」



2人になった自分の部屋で、

とりあえず何から聞いたらよいのか迷う私に。

彼女が急に堰を切ったように話し出した。


彼女の目は悲嘆にくれているわけでも、

怒りに満ちているわけでもなかった。



「お父さん、浮気してるんだよね。

その浮気相手の人が宗教団体に入っていて、

一緒に入っちゃったの」






淡々と事の経緯を話し始めたのだ。





以下つづく。





ストッキングマンはどうした、という怒りの声が聞こえそうですが。

突然「極貧少女」を始めてしまいました。

ご愛嬌ご愛嬌。



空。