「画集森の家から」は森愛さんが森の植物をテーマに日記や絵画の創作活動を行った18歳の一年間の毎日の記録です。


黎明(れいめい)
画集58,59ページ


この黄金色の 花が 毎日楽しみにしているのは


いろいろな蝶達の 美しい 羽音


星が降るように 輝くその音は 彼ら を喜ばせる


でも 人の耳には聞こえない 聞こうとしない



夕暮れがせまり、蝶たちが いなくなるまで


この花は 精一杯 花になる


そして 最後の蝶がいなくなると


この花は また太陽が のぼるまで


また蝶達が やって来るまで


また羽音が 聞こえてくるまで


ゆっくりと 待つのだ



自分が 花になれなくなった時


花は 思うのだ


“ また 蝶の羽音が 聞ける日までは


さようなら”


この黄金色の花が毎年 楽しみにしているのは


いろんな 蝶達の 輝く羽音




森愛さんのポストカード


黎明(れいめい)



黎明(れいめい)
「キクイモ」撮影:森の案内人