黎明(れいめい)


        四月よ

    さぁ 美しい絵を 見せておくれ

  黄色や赤や、白の絵の具で

 大地を 清く 愛らしく 染めあげて


        四月よ

    さぁ 美しい音楽を 奏でておくれ

   鳥達の、虫達の新しい命の音や

      木々のささやきで

まだ 音のないこの世界を 音楽で満たしておくれ


      四月よ


さぁ 美しい彫刻を 見せておくれ

  葉のすばらしい形や花の造りで

 壮大な 芸術を  見せておくれ


     四月よ

さぁ 空気を 香り高くしておくれ


     四月よ


 さぁ 水を 浮き立たせておくれ

 そして四月よ

次にやってくる 明るい 五月のために

 植物達を 起こしてやっておくれ


   明るく 憂いのない

          五月のために




黎明(れいめい)

18歳の森愛自身が森の中を毎日お散歩して出会った「森の植物」がテーマ。 森の中で起こる出来事を観察し、彼女の直筆日記と詩と植物画を通して森を語る。散歩道で遭遇する草花や昆虫の様子や、 自然の中での暮らしから感じる喜びや発見を、 まるで彼女が読者と一緒に散歩道でおしゃべりしながら話しかけている様な心温まる、和みの一冊です。

著者略歴
森 愛
(もり あい)
福岡県出身。 1984年3月31日生まれ。