黎明(れいめい)


森愛さん「森の家から 」21ページより

“ヤッホイ ”草むらの中から 妖精が出てきた。

さぁ 今から妖精たちの背くらべ

   “ あなたの背たけは どのくらい?”

 ぼくのは スミレの葉っぱほど

     君のはワラビの高さほど


“ さぁ 私のは どのくらい?”

    オドリコソウの 葉っぱの下に

          ちょっと かくれて見えるほど


“ さぁ私のは どのくらい?”

    くねくね曲がって よじのぼる

  ツタの葉っぱの間くらい


 “ さぁ私のは どのくらい?”

あら あなたの姿はどこへやら?

    野バラの影で 見えぬほど


   さぁ これで おしまい

妖精達の背くらべ

でも 葉っぱの下にも

  花の下にも

     水の中にも

      茎のてっぺんにも


どこにも どこにも

     姿の見えぬもの


どこにも どこにも

  探し出せぬもの


それが本物の妖精