カブとの付き合い。
以前乗っていたカブ90は今では「鉄カブ」と言われているようだ。
以前カブに乗っていたころ、福岡の糸島市。
中古で5万円で買ったカブが面白く毎日のように海に行っては素潜りでサザエや貝、そしてタコ取りに専念。
また山に入ってはタラの芽とコゴミにツワブキなどを採って、、、それら戦利品が大漁ならご近所さんに配って、夜はそれら戦利品でのんびり一杯、とゆうような生活をしていた。
当時は畑に400苗のタマネギを植えてたので、畑の横にカブをとめて、長靴を履いて畑の手入れ、主に草取りをしていた。
憧れだった田舎生活は今考えても夢のようだった。
夕日に染まっていくカブを眺めていると、、
17時の町内放送、夕焼け小焼けが流れる。。
そんなカブを見ながら、都会にはないゆっくりした時間の流れを噛み締めながら、こんな生活を続けられればと本気で考えていたものだ。
台風の前後はタマネギのマルチシートがはがれないように何度も何度も手入れをして様子を見に行っていた。
家の側に牛舎小屋がありいつも夕方には風向きが変わり、家に危険なにおいが迫ってくるのも慣れてきた。
都会で仕事を12年。
潰瘍性大腸炎で2回の入院、そして手術。。
そう、安倍総理と同じ病気だ。
350人の部下を管理するまで登り詰めたが潰瘍性大腸炎は悪化し、次は癌になると医者に宣告されていた。
そして早期退職優遇制度で退職。
地元で仕事探し。
贅沢こそ出来ないが2.3年はやっていけるだけの備えがあった為、不安がる奥さんを横目にここで楽しみまくった。次は定年までこんなに遊べないと分かっていたので。
CB400SFとカブ90、車はBMW。
これらで九州と四国をツーリング。
目が回るくらい周った。
そんな約1年の田舎暮らしだったが子供達も小さかったので子供達とも最高の田舎生活を楽しむ事ができた。
今ではこの時のカブの写真は残ってない。
サスもマフラーもノーマルで、リアはダブルシート用のキャリアに野菜出荷用の黄色のコンテナを乗せていた。
泥だらけの長靴で乗るのが当時の価値観では最高にカッコ良かった。
少し前までは都会でスーツで外車に乗るような価値観だったがそんな価値観などクソ喰らえになった。田舎のどろんこカブのカッコ良さに最高に惹かれていた。
1人で乗る時はいつもガンガン回して、一度ショップでオーバーホールしてもらって乗り続けた。
そんな幸せな時間もそろそろ終わり。
ぼちぼち面接していた3社から内定をもらい、いよいよこの生活ともお別れ、私ももう決断することとなった。
そうして仕事が決まり東京へ行く事になる。
田舎の幸せを満喫し、沢山の思い出を胸に、
CB400SFと車を売却。しかしカブは手放さず再び都会へ戻る事になった。
そうして転職3年目。
ここでとうとうカブを手放す事になる。
都会で3年。既にカブの価値観は薄れつつあり、目まぐるしい勢いで日々進む時間の速さに、自分の価値観はすっかりどろんこカブから、ピカピカハーレーに変っていた。
続く。