～前回までのお話はこちら↓～

⑮海部川、空の鮎釣りポイント、川原

　　鮎竿をのばしている空の背後から、全身高級ブランドの鮎釣り道具で固めた詐欺師下山好男が

　　近づいて来る。人の気配を感じて振り返る空。

好男「こんにちは～！お嬢さんがおひとりで鮎釣りとは珍しい！素晴らしいですねえ。

　　元気な囮鮎はいかがですか？あ、いやちょっと釣れ過ぎて曳船が満員なんですよ、

　　遠慮しなくていいんですよ、こちらからのお願いですよ」

　　言いながら空の側まで近寄ってきて曳船を川につけて鮎をだそうとする好男。

空　「ああ～っ！！あんた、ズラの詐欺師じゃんっ！！」

好男「（驚いた様子で）な、何を言い出すんだ、」

空　「だって、Y（旧ツブヤイター）でめっちゃバズってたよ！あんたが川原でズラ釣られてたとこ！知らないの？」

好男「ま、まさか、そんな」

空　「もう無理だと思うよ、川原で詐欺みたいなことやんの。」

好男「私はそんな詐欺なんぞやっとらん！皆、私のチームに入って私のおかげで楽しく鮎釣りをして

　　私のおかげで一目おかれて、私のおかげで小遣い稼ぎもできて、私のおかげで美味いものも食わせてやって

　　私のおかげで何不自由なく活動させてやっとるんじゃぞ。私に声をかけられたと皆、泣いて喜ぶんだぞ。」

空　「はあ？それ、何処の異次元の話っすか？あとそれ、人の心を支配しようとする行為で詐欺と同じですよ。

　　人の心を盗む立派な詐欺！！ひっかかる女性を馬鹿にしてるんでしょうけど、偽の塊に寄って来られて嬉しいの？

　　いつか川に流されるんじゃね？助けられた時ズラなかったら誰だかわかんなくて大変じゃん、気をつけ・・・」

好男「うるさいっ！黙れっ！！」

　　捨て台詞を吐いて足早に去っていく好男。

　　塩をまくかわりに川の水を掬って後ろ姿にむけてかける空。

空　「や～い！・・・あ～❔かかっとるやん。一生懸命泳がせてもかからんかったのにい～」

　　ぶつぶつ言いながらも嬉しそうにかかり鮎をとりこむ空。腕時計に目をやる。

空　「お腹、空いた思うたらもうお昼やん、我ながら正確な腹時計じゃのう」

　　ポンポンと自腹をたたきながら、竿をたたんで休憩ポイントへと歩きだす。

　　下で裕子も竿を置いて休憩ポイントに移動しているのが見える。

　　　　〜続く〜

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「鮎竿はなんでも知っているので売らないでください。（仮）～その⑦～」