いつも中途半端。

でもあの日からかれこれ一年、再就職も果たしました。

でも時々無性に虚しくて、寂しいて、泣きたくなります。

いろいろ失ったものがまだ、いまの俺をそうさせるんだと思う。

三十歳になるが未来が何も見えない。

逮捕の翌日、同房者や掲示物から一日の流れを学んだ。



◆起床から朝食
6:30~7:00


担当官の掛け声と共に留置所の電気が点灯。


ただし点灯と言っても留置所内は常に薄明かりが点いている。


真っ暗で寝ることに慣れている人はかなり苦痛な程だ。


また担当官は2時限毎に交替する。中には居眠をする者もいて、その時は外側からガンガン扉を叩きそれで目が覚める事もある。


起床後は布団を所定の場所に戻す。


次に掃除。便所掃除、掃除機掛け、壁の拭き掃除。


掃除だけで無いが、あらゆる事に檻毎のルールがあり新人は便所掃除が決まりだった。


勿論俺は便所掃除担当。


便所掃除と言っても家庭で使うようなブラシ等ではなく、雑巾一枚で便器の中から便所の壁まで拭く。


まあ、繊細とは無縁の俺は二日で慣れた。


掃除が終了すると歯磨き。4人づつ、また各部屋順で行う。


その後7時になると朝食となる。


朝食が配られる少し前に畳一畳の御座か食器口から入れられる。その上に食事を置き周りを囲むように食事をとる。


朝食は食パン四枚。給食である様なジャム(味は日替)にマーガリン。

小型パックのジュースに白湯。

加えて日替りのおかづ。おかづは二口程度のスパゲッティにもう一品。

スパゲッティはケチャップ味や黒胡椒と塩で和えたような味の物だったり。

もう一品は餃子や焼売、ナゲットやウィンナーなどが一個。

おかづをパンに挟んだり、ソースと醤油が回ってくるのでパンに垂らして食べたりした。

毎日同じ味では飽きが来るのだ。

それら全ての受け渡しは食器口から。

食事中は皆無言。10~15分程度で終わる。

朝食だけでなく、この後綴る昼食、夕食に至る三食共にそれなりの品が与えられる。

ただし美味とはいかないが…。


その後8時まではフリータイム。


留置所は前述の通りランク的には下位。


故に同房者との会話や檻の中での行動までは制限されない。


俺はそのフリータイム中30分位檻の中をぐるぐる回って歩いていたものだ。


あの中では運動不足になる。
檻の中は12畳位の広さ。



床は毛の短い絨毯。



継ぎ目などは無く端も壁の下にめり込んでいる。



隅に和式トイレ。



トイレは囲いはあるが窓が付いていて、扉には大きな隙間が予め施してある。



壁面は三面がコンクリート。



その中の一面だけに小さな鉄格子の窓がある。



最後の一面は全面鉄格子。



そこに出入りの扉に食器口がある。



扉は勿論内側からは開けられない。



食器口とは食事や物の受け渡しをするところ。



同様の檻が4室並んでいた。



その中の一部屋で俺の生活が始まる。



俺の部屋には3人の先客がいた。



後から聞いた話だか多いときには一部屋で7人いたことがあったようだが、変な話であるが4人が最適の広さである。



先客の詳細については記載しないが同房者は薬物絡み、窃盗、殺人未遂、詐欺、傷害などの罪が主だった。



話がそれるが檻には三種類ある。留置所・拘置所・刑務所。



留置所は容疑者を収容する。

拘置所は裁判所で起訴された被疑者を収容する。

刑務所は裁判の結果、罪が確定した者を収容する。

ただ収容人数の関係で留置所には拘置所に入るべき被疑者が多いことが現状のようだ。



話を戻して俺は同房者と簡単な挨拶を交わし1~2時間目を閉じた。



無論寝るまでには至らず体を休めた程度だが。



その後は何が何だか解らずまま言われるまま動き就寝となった。