
「詩」 高橋順子
詩なんて書かなくてもいい
と思うとそれが
小魚の骨のように喉にひっかかっている と思うと
わたしのほうが骨であって どこか
やわらかい喉に全身でひっかかっているように思えてく
る
どこかの地球のやわらかいのどを
腫らしているのではないかと
普段はあまり というか開いてもけっきょく素通りしてしまうか
気構えて紐解くと なんというかざらついて香気を発しないまま
磨耗してしまう私が山葵になったような気がしてやはり閉じてしまう。
私にとって高橋順子詩集というのは前者でいえば店構えは立派だけど
ホワイトボードに書かれたメニューに食指が動かぬか
後者でいえば目のつぶれた鮫肌である。
ただ、私の今、現実は薬指にトゲが刺さっていてチクリと痛む からという
あまりに直接的な理由で読みかけのこれを載せてみた。
トゲがささると そうだ刺抜きを探そうとするのだが 嗚呼、我が家にはじめから
ないことにすぐに思い至る。
喉元すぎればすぐに骨のことなど忘れてしまうのだ。次の骨に刺さるまでは。