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日本銀行の本店本館が現在の場所(東京都中央区日本橋
本石町)に竣工したのは、明治29年のこと。日銀は明
治15年に永代橋のたもとで開業していたが、手狭であ
ったことや都心部から離れていたことが要因となり、現
在地に移されることになった。

設計者は、東京駅赤煉瓦(れんが)駅舎や旧両国国技館
などの設計を手掛けた、当時の建築界の第一人者・辰野
金吾。

辰野は本店本館の設計に当たり、14か月をかけて欧米
諸国の銀行を見て回り、当時最新の技術が取り入れられ
ていたベルギーの中央銀行をお手本に設計したとされる。

この日銀本店本館を説明する際によく言われるのが、上
空から見ると「円」の形をしているというトリビアだ。

ところが、辰野が設計した当時の「円」の漢字は、旧字
体である「圓」であった。

それゆえ、「本店本館のフォルムが『円』の形をしてい
るのは偶然である」とたびたび伝えられてきた。

では、実際のところはどうなのだろうか?

「圓」という漢字が「円」という新字体になったのが戦
後の昭和21年であることなどから、明治半ばに築かれ
た本店本館の屋根の形が「円」であるのはおかしいとい
われているようだが、明治時代、「圓」が崩されて簡略
化され、「円」にごく近い漢字として一般的に使われて
いたことはあったようである。

『日本の漢字』(笹原宏之著・岩波書店)には、弘法大
師空海の「三十帖策子」に現在の「円」に近い、簡略化
された使用例が見られるとある。

現在、本店本館が築かれている場所は、江戸時代には「
金座」という中央銀行的な役割を担っていた建物があっ
たところだ。そこに、またもや日本の中央銀行を建てる
というのだから、辰野が日本の通貨単位である「圓」を
意識しないはずがない(日本の通貨単位が明治政府によ
って「円」と定められたのは、明治4年のこと)。

だが、「圓」という漢字を建物の構造に取り入れるのは
あまりにも複雑だ。そこで、「圓」の略字である「円」
をモチーフにしたとしてもおかしくはないだろう。

断定することは難しいのだが、同じく辰野が設計した日
銀大阪支店の旧館(明治36年竣工)も、上から眺める
と「円」と読むことができる(両側の縦棒が短いが)。