マザーグースの歌のほとんどは、子供のための無邪気な歌ではなく、
恐ろしいだけのグロテスクが目的の歌でもなく、それらの多くは、政権批判である。
健康な男の子を後継者として、残すことができなかったヘンリー8世の生殖能力を愚弄した、下ネタのオンパレードの
I had a little nut tree.
ヘンリー8世と離婚されたキャサリン オブ アラゴンの娘、性格が歪んでしまったメアリー、Bloody Maryが三人のプロテスタント司祭を追いかけ、処刑する様を描いたThree Blind Mice.
300人のプロテスタントを拷問し処刑したとされるMary 女王統治下による拷問の様子を表したMary Mary Quite Contrary
ヘンリー8世と二番目の妻、アン ブーリンの娘であるエリザベス女王の時代に行われたカトリックの神父狩りの歌。神父が広い邸宅の中を、隠し通路を使って秘密警察から逃げ惑い、最後は捕まって、階段の上から、足を持って投げ落とされた様子を描いた、Goosy Goosy Gander
スコットランドとイングランドとの絶え間ない戦争によって、搾取され、被害に遭った国境付近の住民の厭戦の気持ちを歌ったThe Lion and The Unicorn
農業革命から、産業革命に向けて次第に貧富の差が拡大し、3分の2という税金の高さに悲鳴をあげた、Baa Baa Black Sheep
産業革命の時の貧しい児童の強制労働とその中で逞しく生きる子供を歌ったBoys and Girls, Come Out to Play.
このように、イギリスの人々は、政権の横暴と不正に怒り、貧困に喘ぎ、その気持ちを歌にした。一緒に歌うことによって抗議の気持ちを共有して連帯してきた。
それが後の民主主義を下から支えたのだと思う。ジョン ロックやルソーなどの啓蒙思想家にも影響を与えたのではないだろうか。そして、数々の革命へと繋がった。
今、日本では、燃えろ良い女、燃えろ早苗ーなんて、政権にすり寄る歌は歌われたが、ウィットに富んだ政権批判の歌なんてないよなあ。
と思ったら、清水ミチコのホルムズ海峡冬景色があった!
日本人としてなんだか、誇らしい。
そして、もう一人、Facebookで見つけた。
砂の中で光る砂金を見つけた気持ちだ。
歌の名前は、「その手は桑名の焼き蛤」
家族に何度か聞かせて、なあ、すごいやろ、すごいやろと言って、すごいと言うまで他の歌も色々、追いかけて聞かせた。
推しを見つけた気持ちが、今、初めてわかる。。。
ミュージシャンは、政治のことなんか発言するな!騙された!という抗議の声が、小泉今日子に向けられたが、いにしえの昔より、音楽と政権批判とは、切っても切れない関係なのである。
マザーグースの歌から政権批判の歌を取り除いたら、半分以上は、なくなるのではないかというくらい、マザーグースは、庶民のルサンチマンを吐き出したものである。民主主義の力の源であり、素晴らしい芸術だと思う。
政権批判に音楽を!
そして、音楽に、もっと政治を!