・SWARRRM/CHAOS&GRIND (1998)

現在も活動中の個性的なグラインドコアバンド、スウォームの1998年、恐らく一番最初のリリース作品である。

彼らの以後の作品はどれも個性があり、そしてどれも完成度が高い。個人的には「偽救世主共」が最高傑作だと思っていたが、近年のPASTAFASTAとのSPLITでも新しいアプローチが垣間見えて、どの作品が最高傑作かと聞かれると甲乙つけがたいものがある。

そして私が初めてSWARRRMを知った時には「偽救世主共」が発売される時で、この1stリリースはとっくの昔に入手困難作品となっていたわけで、聴いたのはつい最近に中古で入手してだった。

すごい。17年前の作品とは思えないアプローチ。マンネリ化していたグラインドコアというジャンルを間違いなくネクストレベルに押し上げたであろう音楽性。NAPALM DEATHや、容易なハードコアからの影響だけでなく、そこに全く新しいメロディを導入している。個人的にはメロデスの方法論とも違う気がするし、SWARRRMだけが表現していたもののようにも思える。

何より、初めてのリリースで、既に彼らのやりたかったであろう事が音楽として完成しているのがすごい。曲にして5曲16分という短さなのだが、こんなにも密度が濃く、充実した時間があっただろうか?1曲目の「NO WORTH」をイントロ代わりに、2曲目「SWARRRM」で一気にリスナーの心をつかみ、最後まで一気に聞かせてしまう。

特に、聞いた事のないような得体の知れないメロディが絡み合うラストの「LIFE FOR YOURSELF」は圧巻。ただただ、すごいとしか言いようがない。

当時この作品が1300円でリリースされていたようだが、リアルタイムでこれを聴いた人はぶっ飛んだ事、間違いなしだろう。昨今のCDは正直、定価の2000円、3000円と払う価値のないものが多いようなものが多いと感じるが、1300円でこの内容なら、逆にもう少しお金を払わないと申し訳ないような気もしてくる。

聞き込んだら結局、この1stリリース作品が一番好きな作品になるかもしれない。