$ぷんぷん臭う糞みたいなロック
・X JAPAN/CLIPS(DVD)

こんな事書いちゃうと怒られるかもしれないのですが、私、X JAPANってそこまで好きなわけじゃないんです。ヘヴィメタルを愛する者として、ハードコアを愛する者として、ヴィジュアル系を愛する者として、通過しておかなければいけないものだと思って、全てのオリジナルアルバムを集めました。しかし単純に、そこまで音が好みではないのです。

ハードコアならもっとハードコアなもの、例えばXが影響を受けたGASTUNKの方がよっぽど好きですし、激しいながらもキャッチーで練られた展開や、壮絶なドラミングは凄いと思いながらも、自分の中で心に特別残るアーティストというわけではありませんでした。

そんな私が見ても、この「CLIPS」は「すげーな」と素直に思わせてくれます。初期のPV映像集なのですが、ライブクリップみたいなものもあり、実質ライブ映像も見られます。

恐らくテレビに出演する頃にはメンバー達は落ち着いた外見になっていましたし、死ぬまで「派手」を貫き通したhideですら、後期は大人の落ち着きが垣間見えました。

しかしこの初期の映像集とも言うべき「CLIPS」で見られるのは過激バンドとしてのXそのもの!!

コープスペイントのTOSHIは、後に宗教だヒーリングだ言い出す人とは思えない程に暴力的なヴィジュアルです。後にただのおじさんと化してしまったPATAは赤いモヒカンで、街で絶対に出会いたくない人です。この頃のhide少しゴスっぽい印象も受けます。あのソロになってからの赤髪のhideの印象とは少し違います。

YOSHIKIは華奢な体から物凄いドラミングを行います。そして、後期からXを知った方には馴染みがないかもしれませんが、ジャパニーズメタルシーンを通る上で外せない人物、TAIJIは、そんな人達に囲まれながらも、最もスター性を感じさせます。

後にLOUDNESSに加入した時にTAIJI個人のファンがLOUDNESSのライブに押し掛けてライブの空気が変わってしまうという問題が起こったようです。その話を聞いた時、「そんな大袈裟な…一個人のファンがそこまで押し掛けるわけがない」と思っていたのですが、この頃のTAIJIの映像を見ていると、彼がいかに魅力的だったのかを納得する事が出来ます。

PV自体も90年代とは思えない程に完成度の高い物で、今見ても全く古臭さを感じさせません。それどころが現在進行形のアーティストのPVよりも、余程プロモーション効果があったのではないかと思わせられます。技術がなくても良い物は出来る例だと思います。

バンドの音楽自体にそこまで関心のなかった私ですら、このDVDを見てこれだけの感想が出てくるのです。それだけ凄いバンドなのです。見た人を一発で虜にするような魅力が彼等にはありました。「VISUAL SHOCK」のフレーズは嘘でも誇張表現でもなかったのです。

元々はVHSだった作品がDVD化される現代。手に取りやすいメディアになった事は素敵だと思います。まだ見てない方は是非、見てください。ファンではない方にこそ見ていただきたい作品でもあります。

X CLIPS [DVD]/X

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