$ぷんぷん臭う糞みたいなロック
・WIPERS/The Power In One (1999)

あのNIRVANAに影響を与えた70年代パンクバンド、WIPERSの1999年作です。実は80年代以降も3年置きぐらいにアルバムをリリースしていたWIPERS。やはり有名なのはNIRVANAもカバーした「D-7」の収録された1stアルバムなのでしょうが、このフルアルバムとしては9枚目に辺り、彼等の最終作となった「The Power In One」も、あまりにも素晴らしかったのでレビューにしてみました。

彼等と言えばPUNKバンドでありながら、限りなくオルタナティヴで、今のグラン時にも繋がる音を79年に演奏していたのですから、相当凄いバンドです。ギターロックとも言えます。

曲自体は凄いキャッチー。それでも気怠げに歌うボーカルに、お世辞にも耳当たりが良いとは言えないノイジーなギター。そして力強く鳴らされるドラムは、間違いなくパンクのそれです。

そして癖になるような反復リフが続いたかと思えば…急に曲が終わる。え?そこで終わる?…という、ポップスのルール無視なところもパンク。

更に驚くべき事に、音楽性が79年の1stから何も変わっていないのです!!70年代の延長にあるのです!!目新しさは正直ありません。しかしSLAYERよろしく、偉大なるマンネリ化。これは凄い事なのです。約30年の時を経ても同じ音楽性を一貫し、更にそのクオリティも下がっていない事がどれだけ凄い事なのか?バンド組んだ事がある方ならわかっていただけるのではないでしょうか?

WIPERSによるWIPERSだけの音楽がここに詰まっており、これも間違いのない傑作なのです。

あと急に曲が途切れたり、短い曲に多数のアイデアを詰め込んでいるのは、少しWIREっぽいですね。ポストパンクっぽい感触もあります。

敢えて近いバンドをあげれば、このアルバムに関しては相当NIRVANAっぽいです。しかし、そもそもNIRVANAがWIPERSからの影響を公言しているわけですから、WIPERSのが先である可能性は高いんですよね。でもWIPERSのメンバーもNIRVANAの一連のアルバムを聴いて逆に影響された可能性もあるわけですし…なんて事を考えていたらわけがわからなくなってきました。

私はなんだかんだ、初期から後期までWIPERSの音源はほとんど聴きましたけど、駄作は1枚もありませんでした。ファンなら必聴。そうでなくとも、グランジ・オルタナが好きなら手に取ってもらいたい1枚。

Power in One/Wipers

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