(12月16日 ) 12

すると、電話の着信音が鳴り響きました。

うねうねうねねぇねうねうねうぅ~ねぇうねう~

(この家の着メロもうねうねにぃ!?)

僕は一瞬だけ戸惑い、真央が素早く受話器を取ります。

そして、両手で受話器を持ち、いつものように話し始めました。

なのなのぉ~♪ は~い。おはようなのぉ~

どうやら、電話を取ることには慣れているようです。

用件も真央あてなのか、真央は話を聞いていました。

うん。うん。そうなの。えっと、目の前の交差点を左に曲がってほしいの。そこに喫茶店があるから……うん。それだと思うの。そこの喫茶店に入って、店員さんに話しかければいいの……暗号? えっと、ネバネバされたくなければ金を出せ! ……なの

(何の話!?)

聞くに堪えない言葉が出てきます。

ゲームの話であることを祈るばかりでした。

すると、真央は話をきりました。

うん。は~い。なのなのぉ~♪

ガチャ、

弟は受話器を置き、上機嫌にコタツの付近に座り、足を入れます。

そして、僕は彼に訊ねました。

な、なぁ。今の電話は誰から?

僕の質問に対し、真央は大きめの目を僕に向け、首をかしげます。

う~ん。間違い電話みたいなの。知らない人だったの

(あれぇ!? 普通に会話が成り立っていたように見えたけど!)

すると、再び電話が鳴り響きました。

僕は即時に動き、今度は「うねうね」といい始めた瞬間に受話器をとり、メロディーを阻止します。

そして、受話器に耳を当てて放しました。

はい。草薙です

すると、電話の奥から聞き覚えのある声が響いてきます。

はぁ~い。こちらも草薙よぉ~♪

(うわぁ……母さんかよ) あのねぇ。今、どこにいるの?

二ヶ月ほど前から姿を消している母さんです。

電話の声が全く響いていないことから、どこかの公衆電話だと予測できました。

そう考えていると、母さんは僕の質問を無視して話し始めます。

それよりも、すごいのを見ちゃったのよ! たった今ね、喫茶店に入ってきた人が丸腰で店員さんを脅しちゃったのよ! その上ね。何て言ったと思う? ネバネバされたくなければ金を出せ! ……って言ったのよ

(聞いたことある台詞!?) ……ごめん。コメントできない

一瞬にして、無数のツッコミが浮かびました。

〔つづく〕

登場人物

草薙 香    主人公

草薙 詩織   香の妹 双子の姉厳格で気丈 中等部 二年

草薙 結   香の妹 双子の妹 のん気で明るい中等部二年

大根 真央  香の従兄弟、両親は他界 小等部三年

香の母     海外旅行中のかなりのん気な母親

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ストーリーの概要・あらすじ


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