空くんが生まれてから一ヶ月検診までが

 

 地獄のように長かった。

 

 それは、忘れてたから。

 

 

 

 花ちゃんのときも、

 

 虎くんのときも、

 

 辛かったことぜーんぶ忘れて、

 

 幸せな育児しか覚えてなかったから。

 

 

 

 なんで

 

 なんで

 

 なんで。

 

 

 花ちゃんの時はもっと楽だったはずなのに。

 

 虎くんの時はもっとできたはずなのに。

 

 

 

 細切れ睡眠で、

 

 うまく頭も働かなくて。

 

 ゾンビのように

 

 空くんを育てている。

 

 

 

 おかしいな。

 

 ヤバイな。

 

 なんかうまくいかないな。

 

 

 なんでだろう。

 

 どうしてだろう。

 

 3人目なのに。

 

 どうして私はこんなに疲れているんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 って、当たり前やがなーーー!!!!

 

 と私は過去一ヶ月間の私にツッコミたい。

 

 

 

 

 上手くできなくて当たり前。

 

 苦しくなって当たり前。

 

 前みたいにできなくて当たり前。

 

 

 

 だって、

 

 忘れてるんだもん。

 

 

 

 私が花ちゃんのときも、

 

 虎くんのときも、

 

 泣いて悩んで、

 

 苦しむように育ててたこと。

 

 

 

 全部ぜんぶぜーーーーんぶ、

 

 忘れてるんだもん。笑

 

 

 

 これねー、忘れちゃうんだよね。

 

 辛かったことなんて、

 

 ぜーんぶ忘れるようにできてるんだよね。

 

 産後の女はね。

 

 

 陣痛の痛みも、

 

 出産の痛みも、

 

 後腹の痛みも、

 

 寝不足の苦しみも、

 

 母乳育児の苦しみも、

 

 ミルク育児の苦しみも、

 

 全部ぜんぶぜーーーんぶ、

 

 忘れるようにできてる。

 

 

 死ぬほど辛くても、

 

 悲しくても苦しくても、

 

 それを全て忘れるようにできているのだ。

 

 

 だから、健康に元気に育っている上の子を見て、

 

 あぁ、なんだかんだ言って

 

 赤ちゃんの頃は幸せだったなぁ、としか

 

 覚えていないのだ。

 

 

 

 そうでないと、子どもを一人産んだだけで、

 

 その痛みを、その苦しみを、

 

 如実に思い出して、

 

 次の子を産みたいなんて到底思えないから。

 

 

 

 

 本当、上手く出来てるなーーーー。

 

 まんまとその策にハマって、

 

 3人も産んでしまったわ。笑

 

 

 

 忘れちゃうんだよね。

 

 苦しかったことも、辛かったことも、

 

 そこで得た経験も。笑

 

 

 

 だからね、育児なんていつだって

 

 初心者なんだよ。

 

 いつまでたっても若葉マークなの。

 

 赤ちゃんの呼吸が気になって、

 

 夜中に何度も何度も確認する。

 

 心配になって当たり前。

 

 だって、初めてなんだもん。

 

 

 何人上に育ててようと、

 

 その子の育児は初めてだもん。

 

 よく泣くのも、体が大きいのも、

 

 昼間寝ないのも、

 

 夜は6時間も7時間も寝るのも、

 

 全部個性だから。

 

 

 心配することないし、

 

 心配しちゃうの、当たり前だから。

 

 

 

 あなたは立派にやっている。

 

 あなたはちゃんとできている。

 

 大丈夫。大丈夫。

 

 

 

 

 休んで、って言われても、

 

 心配で眠れないんだよね。

 

 休んで、って言われても、

 

 目が冴えて眠れないんだよね。

 

 休んで、って言われても、

 

 他にしたいこといっぱいあるんだよね。

 

 

 それでも、休もう。笑

 

 疲れて、泣いて、苦しくなる前に、

 

 休もうね。笑

 

 

 

 頭のなかで怖いこと考え始める前に休もうね、

 

 勇気出して頼ろうね。

 

 赤ちゃんから離れるの

 

 ほんとキツイよね。

 

 怖いよね。

 

 

 でもね、貴女以上に大切な人なんて

 

 この世にいないのよ。

 

 あなたが生きていることが、

 

 いちばん大切なのよ。

 

 

 

 

 一ヶ月検診で産科の先生に、

 

「産後で死んでしまう人の

 

 一番の原因は自殺なんです。」

 

 と言われた。

 

「怪我とか肥立ちが悪くてとか、

 

 そういうのより、

 

 ずっとずっと自殺のほうが多いんです。」

 

「だから、頼ってください。

 

 医師でも助産師でも、

 

 精神科の先生でもいいし、

 

 カウンセラーでもいい。

 

 どこでもいいから、

 

 辛くなったら頼ってください。」

 

 

 

 一人にならないで。

 

 

 一日くらいだったら、

 

 ほっといても死なないから。

 

 赤ちゃんて意外と丈夫だし、

 

 ママ以外でも面倒見てくれる人いっぱいいるから。

 

 

 一人にならないで。

 

 

 

 

 そうメッセージをもらった。

 

 辛くなって当たり前なの。

 

 悩んで当たり前。

 

 

 でも、それは突き放した意味の言葉じゃなくて。

 

 それでも大丈夫だから。

 

 辛くなっていいんだよ。

 

 悩んでいいんだよ。

 

 あなたを助ける人は、

 

 あなたを助けたがっている人は

 

 いっぱいいっぱいそばにいるんだから。

 

 

 そういうメッセージだから。

 

 ひねくれないで。

 

 素直にね。

 

 

 

 あなたが頑張ってるのは。

 

 頑張ってないと思っていても、

 

 頑張っているのは、

 

 みんなわかってるし、

 

 助けたいと思っているから。

 

 

 

 ただ、助けてって言おう。

 

 私大変なのって言っちゃおう。

 

 辛いんだ。

 

 大変なんだ。

 

 ってときには可哀想ぶりっこしちゃおう。

 

 

 頼っても大丈夫。

 

 あなたが楽になること以外、

 

 大切なことなんてなにもない。

 

 

 あなたが心から笑えるのなら、

 

 楽していいし、

 

 ずるしていいし、

 

 さぼっていい。

 

 

 

 もしも、心から笑えないのなら、

 

 お母さんは笑ってないと、

 

 なんて言葉無視していい。

 

 お母さんは泣いちゃダメ、

 

 なんて言葉無視していい。

 

 

 

 

 あなたのことを選んだ子どもは、

 

 あなたが笑えなくてもいいし、

 

 あなたが泣いててもいいし、

 

 あなたが怒っててもいいし、

 

 そういう未熟な、できないあなたを選んだ子どもなんだ。

 

 

 だから大丈夫。

 

 子どもを憎く思っててもいいの。

 

 子どもが面倒になってもいいの。

 

 子どもをほっといてもいいの。

 

 

 

 それでも、大丈夫だと、

 

 それでも、愛してるんだと、

 

 あなたを選んできた魂だから。

 

 

 

 でもね、正直、

 

 体を休めて、

 

 好きなことして、

 

 自由に生きてたら、

 

 子供のことめちゃくちゃかわいくなるよ。

 

 

 自分の子どもだもん、

 

 当たり前じゃん。

 

 

 

 我慢しなくて大丈夫。

 

 失敗しても大丈夫。

 

 大丈夫だから。

 

 

 休もう。

 

 好きなことしよう。

 

 

 

 大好きだから。

 

 

 世界も子どもも、

 

 あなたのことが大好きだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■来栖 照(くるす あきら)■

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