効率主義だった自分へ。

 

 

 なにもかも効率が大切だった自分へ。

 

 

 手早く、綺麗に、正しく、終えることが目的だった自分へ。

 

 

 

 

 

 それ、やってて本当に楽しかったかな。

 

 いつも誰かと比べて、

 

 〇〇よりは早い。

 

 △△より綺麗。

 

 ××より正しい。

 

 って競争してなかったかな。

 

 

 

 

 効率を良くすることで、

 

 誰かに勝った気でいなかったかな。

 

 効率が良くないと、

 

 誰かに負けた気がしてなかったかな。

 

 

 そりゃ、一般社会では効率を求められるよ。

 

 同じ時間で、たくさんのことができる方が、

 

 一般社会としては都合がいいに決まってる。

 

 学校でもそうだったよね。

 

 同じ時間で、テストを最後まで解けるほうが

 

 点数もいいし、成績だっていい。

 

 その方が認められているって思っちゃったよね。

 

 その方が正しいんだって思っちゃったよね。

 

 

 

 

 でもさ、

 

 でもさ、よく思い出してみてよ。

 

 

 

 私、お菓子作りが大好きだった。

 

 簡単にできるクッキーがいちばん好きだった。

 

 生地を混ぜて、抜き型で形を作るのも、

 

 手でこねてオリジナルの形を作るのも。

 

 一番好きなのは作った生地を焼いている時間だった。

 

 オーブントースターの前で、

 

 じっくりふっくら焼きあがっていくクッキーを見るのが

 

 本当に好きだった。

 

 だんだん膨らんできて、

 

 膨らみ終わったらいい匂いがしてきて、

 

 少ししぼんで落ち着いてきて、

 

 一つ一つに焦げ目がじりじりついていって。

 

 小さなやつは早めに茶色に染まっていって。

 

 調子に乗って大きなまま焼いたやつは、

 

 なかなか焼き色がつかなくて。

 

 そんな一つ一つのクッキーを見るのが

 

 ほんとうにほんとうにだいすきだった。

 

 

 

 効率、考えてたらさ、

 

 焼いている間に片付けしたり、

 

 次のもの作り始めたり、

 

 他の作業始めなきゃいけないんだよ。

 

 そうしないと、無駄な時間が多くて、

 

 効率が悪くて、時間のかかるお菓子作りになっちゃう。

 

 

 

 私は、効率を選んだんだよね。

 

 焼きあがっていくクッキーを見る時間を「無駄な時間」だと考えて、

 

 有効な「後片付け」や「次の工程の準備」を選んだんだよね。

 

 

 その方が「正しい」って思ったんだよね。

 

 

 

 

 本当はクッキーを見ている時間だって、

 

 心がわくわくふわふわする大切な時間だったのに。

 

 

 

 

 私ね、もう、効率主義、やめようと思うんだ。

 

 もっと、無駄な時間を増やそうと思うの。

 

 

 

 無駄な待ち時間や、

 

 無駄な手続きや、

 

 無駄なお金の使い方。

 

 

 

 効率を追いかけている時、

 

 私はいつもピリピリとしていた。

 

 私はいつも誰と競っていた。

 

 戦っていた。

 

 あの人より、早い。

 

 平均より、綺麗。

 

 過去の自分より、正しい。

 

 

 いつまでも戦って、

 

 過去の自分さえ、敵のように考えて。

 

 

 

 負けるのが怖かったんだよね。

 

 役に立たないと認めるのが怖かったんだよね。

 

 私は役立たずだと、

 

 私は効率が悪いんだと、

 

 私は負けてしまうんだと。

 

 それが怖かったんだよね。

 

 

 

 

 負けたら、何もなくなってしまうと思っていた。

 

 負けたら、自分には何も残らないんだと思っていた。

 

 

 

 

 もうさ、いいじゃん。

 

 何もなくなってもいいじゃん。

 

 空っぽでもいいじゃん。

 

 

 私はそれでも大丈夫なんだ。

 

 きっと、絶対、大丈夫なんだ。

 

 

 

 幸せなんだ。

 

 

 

 

 焼いているクッキーを見る時間が好きだった。

 

 

 じわじわ膨らんでいって、

 

 いい匂いがして、

 

 焼き目がついていって、

 

 最後に「チン♪」て音がなるの。

 

 フタを開けると中の熱と甘い香りがふわっときて。

 

 焼きあがったクッキーを

 

 クッキングペーパーからお皿に

 

 サラサラとうつす。

 

 まだまだ熱くて、持てなくて、

 

 でも、我慢できなくて、

 

 火傷になりそうなほど熱い焼きたてのクッキーを

 

 あちあち言いながらかじってみて、

 

 やっぱりまだ熱かった! なんて

 

 口の中を火傷しながら

 

 焼きたてのクッキーを頬張った。

 

 焼きたてのクッキーはまだ生地がホロホロと崩れやすくて、

 

 それがなにより美味しかった。

 

 

 

 

 効率主義になって、

 

 焼いている間に違うことを始めると、

 

 そっちに夢中になって、

 

 焼き上がった音に気が付かなかった。

 

 全て片付けや準備を終えてから、

 

 冷めたクッキーを取り出す。

 

 

 もちろん味見をすれば美味しかったし、

 

 みんなで食べる時に熱いクッキーを出すわけじゃないから、

 

 効率的にはなにも問題ない。

 

 

 

 でも、だんだんとクッキー作りは

 

 私の生活から離れていった。

 

 きっと「お菓子作り」自体が効率的ではないと思ってしまったんだろう。

 

 

 

 

 もしかしたら、あの待ち時間をずっと見続けていたら、

 

 また違う未来だったのかもしれないけれど。

 

 

 

 

 今、子どもたちとクッキーを作る。

 

 子どもたちはクッキーを焼いているところを見るのが大好き。

 

 面白いテレビがやっていても、

 

 トランプの途中でも、

 

 気がつくとオーブントースターの前で、

 

 じっと中のクッキーを見つめている。

 

 

 

 飽きないのかな、なんて

 

 大人になってすれてしまった私は思うけれど、

 

 思い出してみたら、

 

 私もそうだったんだよね。

 

 

 私も、焼きあがるクッキーをじっと見ているのが好きだったんだ。

 

 

 無駄な待ち時間が、

 

 なにより心をときめかせてわくわくして楽しかったんだ。

 

 

 

 待っている時間が、とてもとても愛おしかったんだ。

 

 

 

 

 

 効率主義だった自分へ。

 

 無駄なことばかりしている未来の私なんて信じられないかな?

 

 

 じっとしている時間があるなら、

 

 掃除でも片付けでもしなさいよ。

 

 って憤るかな。

 

 

 私なんてやっぱり効率よくできない役立たずなんだって、

 

 勝手に自分を責め始めるかな。

 

 

 

 

 

 でもね、楽しいよ。

 

 待っている時間って楽しいんだよ。

 

 大好きなものが出来上がる時間くらい、

 

 楽しんで待ってようよ。

 

 わくわくきらきらしながら、

 

 待ち続けてみようよ。

 

 

 

 きっとそれでいいんだ、って分かる時が来るから。

 

 

 

 私はそれでいいんだ、って思える時が来るから。

 

 そのままの自分で。

 

 効率なんてうまく考えられない自分で。

 

 後片付けも掃除も準備も、

 

 全部後回しの自分でいいんだ、って。

 

 そう思える日がきっとくる。

 

 

 

 

 不思議なんだけどね。

 

 そう思えると、

 

 後片付けも掃除も準備も楽しくなるんだよ。

 

 びっくりだよね。

 

 

 

 

 

 

 効率主義だった私へ。

 

 あなたの未来は、結構適当で、

 

 大雑把で、無駄が多くて、

 

 効率が悪いです。

 

 

 あなたの未来は、結構柔軟で、

 

 大らかで、平和で、きらきらと輝いていて、

 

 全ての時間が愛おしく感じるような、

 

 そんな毎日です。

 

 

 誰とも戦わず、のんびりとしていて、

 

 時々嵐もやってくるけれど、

 

 それすら愛おしくなるような、

 

 そんな毎日ですよ。

 

 

 

 だからね、ありがとう。

 

 

 

 

 過去の効率主義の私がいたから、

 

 今の幸せがよく分かるの。

 

 

 

 

 本当にありがとうね。

 

 今は自分が大嫌いだと思うけど、

 

 そんなあなたでいいんだからね。

 

 いつもありがとう。

 

 大好きです。

 

 

 

 

 

 効率主義だった私へ。

 

 未来の幸福主義な私より。

 

 

 

 

 

 

 

 ここまで読んでくれてありがとう。

 あなたに幸せが訪れますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■来栖 照■

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