言葉だけ私の中で先行していて、

 

 実際にはどういうことなのか全く分かっていなかった、

 

 「感情の棚卸し」。

 

 

 

 先日、「感情の棚卸し」を経験しました。

 

 

 

 

 ことの発端は龍くん(旦那)の夜更かし。

 

 

 

 龍くんね、

 

 平気で夜中の2時3時まで起きてる。

 

 で、朝の5時頃出勤してる。

 

 

 

 私は前々からそれがどうしても嫌だったのね。

 

 

 

 

 健康に悪いとか、

 

 体壊すとか、

 

 ベッドで寝てとか。

 

 

 いろいろ文句言ってた。

 

 だって、なんかすごい嫌だったんだもん。

 

 

 

 

 

 言っても言っても治らなくて。

 

 どうしても嫌で。

 

(治そう、って考えてる時点で

 

 なんかずれてるよねー。笑)

 

 

 

 

 

 正直、離婚を考えた。

 

(こんなことで、って思うでしょ。笑

 

 でもその時は本気だったんだよー。)

 

 

 

 

 

 でさー、こんなに過剰反応する理由が自分の中でわかってなくて。

 

 過剰反応してる事自体はわかってるんだけどさ。

 

 

 何が嫌なんだろう。

 

 どうして悲しいだろう。

 

 

 ってベッドの中で考えてたらね、

 

 思い出したの。

 

 

 

 

 高校生の頃、

 

 私は朝一人で起きて、

 

 一人で朝ごはんの準備して、

 

 一人で朝ごはん食べて、

 

 一人で学校の準備して、

 

 一人で家から出て学校へ行っていた。

 

 

 

 電車通学で、

 

 朝6時半の電車で、

 

 家では誰の顔も見ずに、

 

 無言で毎朝家を出ていた。

 

 

 

 両親とも共働きだったし、

 

 母は夜遅くまで家事をしたり、

 

 映画を見たりゲームをしたり、

 

 自分の時間を夜中に確保していた。

 

 多分2時、3時くらいまでは起きていたのだと思う。

 

(今の龍くんの生活とそっくり。)

 

 

 

 私はただ、「行ってらっしゃい」が欲しかっただけだった。

 

 高校生にもなって、母からの「行ってらっしゃい」がただ欲しかった。

 

 

 

 違う高校に通う妹は毎日母と車で通学していて、

 

 小学生の弟は朝ごはんも準備も全て母にやってもらっていて、

 

 私一人だけが、朝、母に会わずに、挨拶もせずに、

 

 家を出ていた。

 

 

 

 

 ただ、寂しかったんだ。

 

 

 

 寂しかった。悲しかった。

 

 おはようって言ってほしかった。

 

 いってらっしゃいって言ってほしかった。

 

 顔が見たかった。

 

 お母さんが夜遅いのわかってるけど、

 

 もう高校生だけど、

 

 朝は起きて、

 

 私の顔を見て、

 

 おはよう、いってらっしゃいって、

 

 言ってほしかった。

 

 

 

 

 ただ、それだけだった。

 

 

 

 小さな頃の私がわんわん泣き出して止まらなかった。

 

 悲しかった。

 

 寂しかった。

 

 

 

 お母さんにおはよう、いってらっしゃいって

 

 言ってほしくて。

 

 ただそれだけで満たされたのに。

 

 

 

 

 

 

 

 どうして同じ高校生の妹は朝一緒なのに私は違うの?

 

 どうして私には言ってくれないの?

 

 

 

 

 かなしいよ。さびしいよ。

 

 

 

 

 そんな気持ちがあふれてきて止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 龍くんは朝が早いから、

 

 私と子どもたちが起きる頃には

 

 もう家にいない。

 

 おはようも行ってらっしゃいも言ってはもらえない。

 

 

 

 その状況が重なっていた。

 

 

 

 

 母は夜更かしが多かった。

 

 夜中、トイレのために目を覚ますと、

 

 リビングの明かりが小さくついていて、

 

 いつもなにかしらやっていた。

 

 テレビだったり、ゲームだったり、映画だったり。

 

 

 それが今の龍くんと重なって見えた。

 

 

 

 

 

 幼い私は

 

「お母さんは夜ふかしをするから朝起きれないんだ。」

 

 と思い込んだのだろう。

 

 

「お母さんが朝起きれないのは、夜ふかしをするから。」

 

「私に対して愛情がないわけじゃない。」

 

「本当は起きたいと思っているはずだ。」

 

「夜更かしがいけないんだ。」

 

「夜更かしが悪いんだ。」

 

 

 夜更かしを悪役に決めつけた。

 

 

 私が愛されていないわけじゃない。

 

 私は愛されてるのに、

 

 どうして、朝起きてきてくれないんだろう。

 

 そうだ、夜更かしだ。夜更かしが悪いんだ。

 

 私は悪くない。悪いところなんてない。

 

 私は愛されてるもん。

 

 お母さんに愛されてるもん。

 

 朝起きてくれないのはお母さんに愛されてないからじゃない。

 

 夜更かしするから、だから、起きれないだけだもん。

 

 

 

 そう、自己完結したんだ。

 

 そう、前提を作ったんだ。

 

 

 

 健気で泣けてくるね。

 

 お母さんに愛されていないかもしれないと思うことが

 

 怖かったんだね。怯えていたんだね。

 

 

 だから、一生懸命、「夜更かし」を悪役にして、

 

 「夜更かしと戦う私」を演じていたんだね。

 

 

 

 

 もう、いいよね。

 

 もう、大丈夫だよね。

 

 寂しかったよね。悲しかったよね。

 

 

 大丈夫。ちゃんとわかったよ。

 

 思い出したよ。

 

 あなたの気持ち、ちゃんと受け入れたよ。

 

 認めたよ。

 

 

 

 私は寂しかったし、悲しかった。

 

 高校生にもなって、そんなことが悲しかった。

 

 寂しかったんだね。

 

 

 

 

 

 洗いざらい龍くんに話して、

 

 私の気持ちを聞いてもらった。

 

 龍くんは困った顔をして、

 

「俺、朝いないから、

 

 いってらっしゃいって言ってあげられないよ。」

 

 と言っていた。

 

 

 

 

 正直、

 

 論点はそこじゃねーよ!

 

 と思ったけど、なんか、

 

 龍くんの言葉を聞いて笑ってしまった。

 

 

 

 

 だってさー、

 

 高校生の頃、そういう出来事があって、

 

 寂しかったんだー、悲しかったんだー、

 

 それを今と重ねちゃってるんだー、って言ってるだけで、

 

 だから、龍くんの夜更かしに過敏に感応しちゃうんだ、

 

 って説明してるだけで、

 

 私の感情の棚卸しに付き合わせてるだけで、

 

 龍くんには本当は1ミリも責任なんてなくて、

 

 責めてないし、

 

 むしろ、

 

 こんなグダグダで終わりのない話に

 

 付き合わせちゃって申し訳ないなー、

 

 って私が思ってるくらいで。

 

 

 

 それでも、私のことを一生懸命に考えてくれて、

 

 私はただ、「そうだったんだ、寂しかったんだねー。」って

 

 言ってほしかっただけなんだけど、

 

 あなたの願いを俺は叶えてあげられないよ、って自己申告してきて、

 

 申し訳なさそうで、ちょっと困ってて。

 

 なんか、もう、愛しいなぁって思ったのです。

 

 

 

 そうやって、いちいち考えてくれるところとか、

 

 すごく好きだなぁって思って。

 

 こんな人と結婚できて、

 

 本当に幸せだなぁ、なんて思ってしまったんです。

 

 

 

 

 心の中を全部吐き出したらスッキリして、

 

 すぐに寝てしまった。

 

 龍くんは夜更かしをやめた。

 

 その日は。

 

 

 

 

 

 次の日、性懲りもなく、龍くんは夜更かししていた。笑

 

 

 

 でも、私の感じ方、考え方が全然違っていて、

 

 なんというか、言葉は悪いけど、

 

 どうでも良くなってしまった。

 

 龍くんが夜更かししようが何しようがどうでも良くなってしまった。

 

 

 

 仕事に遅刻するわけでもない。

 

 体調が悪くなるわけでもない。

 

 なら、別にいいじゃん、って。

 

 

 

 龍くんが夜更かししようが、

 

 龍くんが朝いなかろうが、

 

 どうでもいいじゃん。って。

 

 

 

 

 ほっといた。

 

 

 

 そのうち、龍くんも今まではガミガミ言っていた

 

 子どもたちへの小言が少なくなっていった。

 

 私にいろいろ言われなくなったから、

 

 きっと龍くんも「もうどうでもいいや」ってなったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前に起きている問題はダミーって本当だなー。

 

 私はただ、寂しかったことを認めてほしかっただけだった。

 

 

 

 

 高校生にもなって、

 

 母親からの「いってらっしゃい」がほしかったことを

 

 認めてほしかっただけだった。

 

 

 当時は変に大人ぶって斜に構えてて

 

 「お母さんと私は別人格だし。」みたいな。

 

 「親だってただの人間だし。」みたいな。

 

 思春期をこじらせてて。

 

 

 

 甘えたかった気持ちを押し殺して、

 

 自立した自分を装っていて。

 

 

 上京して押し殺してた気持ちが

 

 うつや神経障害や自律神経失調症になって返ってきたんだけどね。笑

 

 

 

 

 

 

 甘えたかったんだなー、って思ったら、

 

 なんか楽になっちゃって。

 

 幸せになっちゃて。

 

 

 

 状況は何も変わってないのにねー。

 

 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 感情の棚卸しってこうやってするんだなぁって

 

 一例にしてもらえれば幸い。