俺の世界から音がなくなった次の日、病院に向かった。音が無いっていうのは静かで、ただとても怖かった。今までどれだけ音に溢れていたのかと今更になって気づく。


今日もついてきてもらった山崎に先生との間に立ってもらって、詳しい説明を聞いてもらった。先生はあらかじめ病気のこと、治療のこと、これから先考えられることを紙に書いておいてくれて、それらを指でさしながら話をしてくれた。




突発性難聴は原因がはっきりしないこと。聴力が回復したとしても完全に戻りきらない可能性もあること。


もちろん、そもそも聴力が回復しないという可能もあること…。






耳が聴こえなかったら、V6は辞めなきゃいけないのか。


そんな事考えた事もなかった。Jr.の頃からずっとやってきて、やっとデビュー出来て、あんなに大好きなメンバーに出逢えて、辞めるなんて考えた事も無かった。


『あ~あ』声に出した音は、虚しくなるほど一音も俺には聴こえてこなかった。ただ、喉の震えた感覚が残っただけだった。








入院って言っても身体は元気だから、やる事がなくて時間ばかりが過ぎて行く。だけど、時間が出来ればそれはそれで、これからの事を考えて不安でいっぱいになってしまう。


V6を辞めるのか


さっきから何回もこの言葉が頭に浮かんで、今までの事を思い出して、辞めたくないって思って、でも聴こえない現実があって。

もう…堂々巡りだ。




携帯の画面がパッとついて、確認すると坂本くんからだった。

「体調どうだ?」




「大丈夫だよ」





大丈夫なんかじゃない。耳は聞こえない。入院しなんかしちゃってる。いつ戻るかも戻る可能性自体も分からない。


だけど…「大丈夫だよ」ってそれ以外返せないだろ。「V6辞めなきゃいけないのかな」なんて言えないだろ。


…言いたくないだろ、そんな事。




既読になった画面を見つめて、これ以上何を言ったらいいのかわからなくなった。




入院って言っても身体は元気だから、やる事がなくて時間ばかりが過ぎて行く。だけど、時間が出来ればそれはそれで、これからの事を考えて不安でいっぱいになってしまう。


V6を辞めるのか


さっきから何回もこの言葉が頭に浮かんで、今までの事を思い出して、辞めたくないって思って、でも聴こえない現実があって。

もう…堂々巡りだ。




携帯の画面がパッとついて、確認すると坂本くんからだった。

「体調どうだ?」




「大丈夫だよ」





大丈夫なんかじゃない。耳は聞こえない。入院しなんかしちゃってる。いつ戻るかも戻る可能性自体も分からない。


だけど…「大丈夫だよ」ってそれ以外返せないだろ。「V6辞めなきゃいけないのかな」なんて言えないだろ。


…言いたくないだろ、そんな事。




既読になった画面を見つめて、これ以上何を言ったらいいのかわからなくなった。