大正13年9月12日 | 胡桃澤盛のブログ

胡桃澤盛のブログ

戦間期の農村に生きた一青年の日記。長野県下伊那郡河野村。大正デモクラシーの時代、左傾青年運動にも心を寄せていた胡桃澤盛(くるみざわ もり)は、やがて村長となって戦時下の国策を遂行する。その日記には、近代日本の精神史が刻み込まれていると言えよう。

九月十二日(金曜) 雨

起きて見ると危険な天気模様なので急いで給桑を為し直ちに夜の明ける頃摘桑に出掛ける。雨は三十分後よりジャアジャアと降り出した。緊張した顔で熱心に一語も発せず皆よく摘む。雨露の雫は作は首に流れ込むが一語の不平も出さずに摘む。他の仕事であったら黙しては居なかろうに。養蚕大明神だからもったものだ。

夕方、歇む。