大正13年9月12日九月十二日(金曜) 雨 起きて見ると危険な天気模様なので急いで給桑を為し直ちに夜の明ける頃摘桑に出掛ける。雨は三十分後よりジャアジャアと降り出した。緊張した顔で熱心に一語も発せず皆よく摘む。雨露の雫は作は首に流れ込むが一語の不平も出さずに摘む。他の仕事であったら黙しては居なかろうに。養蚕大明神だからもったものだ。 夕方、歇む。