大正13年9月10日 | 胡桃澤盛のブログ

胡桃澤盛のブログ

戦間期の農村に生きた一青年の日記。長野県下伊那郡河野村。大正デモクラシーの時代、左傾青年運動にも心を寄せていた胡桃澤盛(くるみざわ もり)は、やがて村長となって戦時下の国策を遂行する。その日記には、近代日本の精神史が刻み込まれていると言えよう。

九月十日(水曜) 晴

昼休みに補習桑園の摘桑入札を行う。竹村氏落札。代金弐拾六円七拾七銭。後で収入役の処へ堤防の人工賃を受取りに行くと、村長が補習料は何か研究をしてるか云うので其の間に又視察旅行でもする積りだと答えると桑園で研究せよ、然らずんば、取り上げ相な権幕だ。校長も口を出す。癪に触る。銭だけ費消してしまえば文句はないのだ。