大正13年9月7日 | 胡桃澤盛のブログ

胡桃澤盛のブログ

戦間期の農村に生きた一青年の日記。長野県下伊那郡河野村。大正デモクラシーの時代、左傾青年運動にも心を寄せていた胡桃澤盛(くるみざわ もり)は、やがて村長となって戦時下の国策を遂行する。その日記には、近代日本の精神史が刻み込まれていると言えよう。

九月七日(日曜) 晴

半日蚕棚の間に立往生。夜またぎの休みをやったので厄介である相な。でも昼桑迄給して停る。それでも眠〔ら〕ないのは上取りを懸る事にした。

午后、市之沢へ行く。草を一人は挽き一人は桑を摘んで来る。

午前九時何分かの下り電車が上伊那郡、上片桐駅へ停車して居る時後方より進行し来れる電気関車が衝突して前なるボギー車は其推された勢いで其の儘七、八町駆けて来りて逆に一丈ばかりの崖より真倒しに落ちてめちゃくちゃに破壊され乗客二名即死其他重傷者多数の由。