ミッツ・マングローブ 連載「アイドルを性せ!」 の魅力 | くるみうりの『趣味の文芸』

くるみうりの『趣味の文芸』

2匹のお猫、
うり(保護猫 茶白 6歳 ♀)とくるみ(スコティッシュフォールド 三毛 5歳 ♀)との毎日、好きな音楽の事、日々感じた事、好きな本の事などなどを書いてます。タイトルを「くるみうりのブログ」から「くるみうりの『趣味の文芸』」に変更しました。

ミッツ・マングローブ 連載「アイドルを性せ!」  の魅力

 

 かなり前からミッツ・マングローブ さんのファンである。 私は頭脳フェチなところがあって、自分が思いもつかない発想をしたり頭の使い方をしている人をみると、たちまちファンになってしまう。 ミッツさんは、以前バラエティ番組で、川柳の上の句だけを見て下の句を当てるクイズで実にとんちの効いた回答をされており、その姿を見てファンになった。仕事の合間の一休みのひと時、ミッツさんのコラムを読む時間が気に入っている。

 

 まずミッツさんの知性の守備範囲はとても広く、そこに驚かされる。一般的なタレントが書く文章ではない。実際読むまで知らなかった。彼は1975年生まれ、私とは一回りの歳の差があるのに特に芸能界ネタは私のツボにドはまりで、申し訳ないがつい同年代だと錯覚してしまう。この人の文章の魅力は、目の付け所の良さと鋭い洞察力だろう。そこまで言うかみたいな危険な発言も軽さとユーモアで見事にやりこなしでしまう。またタイトルの付け方も絶妙でつい何話も読んでしまう。メインタイトルが「探せ」ではなく「性せ」というところからイケている。

 

  「異形を標準化した美川憲一と平成」

  「男勝りな女に関する仮説」

  「七輪を嘲笑う日本人へのしっぺ返し」

 

など、キャッチ―でいい感じのタイトルである。そして芸能界の話題にとどまらず、時事ネタや、スポーツネタまで彼流の筆さばきでどれを読んでも「うまい!」思わせる。

 

ちなみに「男勝りな女に関する仮説」であるが、冒頭安藤優子、小池百合子、吉田羊などいかにもという方々をラインナップしてからの、「モー娘の辻ちゃん」というひねり技での着地という、鮮やかなフィニッシュを見せてくれた。

 

 直近6/19の「繁忙男女たちのドラマティックな営み」では、つるの剛士の「絶倫感」について触れていて、さすがミッツ!素敵~と感服した。

 

 最後に『病んで壊れることは怖くない』という病み社会 は、彼の本質が表れている名文である。マイノリティという事について書かれた文章で、これほど優れたものはめったに無いと思う。

 

「己の弱みは内に秘めてこそ美しく、むしろその方が周囲に伝わると、どこかで信じている節が私にはあります。」

 

 これが大きな痛みを伴う選択であること、安易に取り上げようとする社会に触れる事自体の危なさの中であえて語ること、そしてここまでの決意が受け手の自分にあるかを問われる、そんな彼の主張である。

 

 芸能界ニュースが好きな人にはお薦めのコラムで、 ミッツさんの動向は今後も要チェック案件である。