これは、私が某公立中学校で

教員をしていた頃の話です。

 

 

当時私は中学校1年生の担任


私のクラスの一人の男子生徒が、

こんな作文を書きました。

 

 

車への、家族からの”ありがとう”

 

 

こんなエピソードが書かれていました。

 

長い間、家族を乗せて走ってくれた車を廃車にする日。

 

「最後に、きちんとお礼を言いたい」と思った彼の家族は、
みんなで車をきれいに洗ったそうです。

 

ボディも、窓も、タイヤも。
まるで“送り出す準備”をするかのように、丁寧に。

 


そして最後に—— 座席に小さな花束をそっと置いた、と。

長い間ありがとう

 

 

その光景を想像しただけで、

胸がじんわり温かくなる。
物をただの“もの”として扱わない、 

何とも言えない優しさが、文章全体ににじんでいました。

 

 

 

ものがあふれ、壊れたら買い換えればいい——

 

 

そんな時代に生きていると、

つい大切なことを忘れてしまいそうになります。

 

 

でも、あの生徒の作文は教えてくれました。

 

「ものを大切にする心は、人を大切にする心とつながっている」

ということを。

 

 

便利さの影で置き去りにしてしまいそうな、 

小さな“ありがとう”や、別れを丁寧に迎える気持ち。

 


忘れてはいけない何かを、静かに教えてくれたのだと思います。

 

 

 

あの生徒は今、どんな大人になっているのだろう

あれからもう何年も経ちました。


彼は今、30代後半くらいでしょうか。

 

あの頃のままの素敵な感性をもち、 

身の回りのものを大切にし、
人を思いやり、 

穏やかで深い優しさを持った大人になっている気がします。

きっと穏やかで素敵な大人に成長しているでしょう。

 

どこかで元気に、幸せに暮らしているといいな。


ふと、そんなことを思い出す日があります。