HUNTER×HUNTER考察〜アニメ×マンガ×作者の技法〜 | (旧)薄口コラム

(旧)薄口コラム

※はてなブログに本格移転しています。
http://column-usukuti.hatenadiary.jp/
進撃の巨人の一話で、エレンが泣いたのは何故なのか?
SONYが復活するためにはどういう戦略が必要か?
身近な時事ネタやビジネスなど、さまざまな事に斜めに構えて考察します!

最近HUNTER×HUNTERのアニメにハマってます。
週刊少年ジャンプでの連載再開が待ちきれず、代わりに見てました。
もともと新作の方は見た事がなかったのでちょうど良かったのですが、改めて見れば見るほど原作のハンターハンターの凄さを感じました。


失礼を承知で僕がアニメ版ハンターハンターを見た正直な感想は、冨樫さん以外にあの作品は扱えないというものでした。
あの作品の凄いところは間違いなく登場人物のひとつひとつの心情描写や演技なのですが、これらはそういった細やかさを感じとれなくても楽しめるように作り込んだ冨樫さんの才能があって初めて生きてくるものだと思うのです。

ハンターハンターの強みは心情や構成にあるけれどそれが分からない人にも楽しんで貰える作品である。
それこそがハンターハンターの最大の強みだと思うんですよね。
その辺がどうしてもアニメ版では感じられない。

深夜アニメってこともあり無理もないのかもしれませんが、どうしてもアニメ作品では登場人物の心情描写ばかりに重きを置きすぎているように思えてなりませんでした。
とくにキメラアント編以降は、、、

あの辺、原作では上手く心情の揺れなどが分からない少年でもストーリー展開や技・キャラの面白さで楽しめる様に描かれているのですが、アニメ版では純粋な迫力よりも、心理的駆け引きを前面に出したいというように思えてなりませんでした。
もちろんそこがハンターハンターの強みのひとつではなるのですが、多分作者はそこの所だけで勝負しようとはしていないんですよね。

マンガ版が心理の駆け引きを読み取らなくても十分楽しめる様に工夫されているのに対して、アニメ版はあくまて心理の駆け引きが前提に作られている。
そこが原作ファンとしては違和感に思えてなりませんでした。

あくまで、冨樫さんはきっとあの作品を少年誌向けに書いているのだと思います。
(緻密さを見るととてもそうは思えませんが)
でも、アニメ版ではそういう少年をまるで想定していない。
もちろん深夜アニメとして作られているので子供を想定していないのは当然ですが、それでもアニメ版と原作を比較すると、その辺も意識できている原作に凄さを感じます。

アニメみて確信するのは冨樫さんの凄さです。
あれだけ構成や心理的なやりとり・駆け引きが上手く描かれた上に子供にも楽しめる作りになっている。
その辺を無意識に漫画に描き切る冨樫さんはやっぱり桁が違うように思います。
6月から連載再開の新章が今から待ちきれません。