前回は、障害者手帳を持たない難病患者の就労について書きました。


今回は視点を少し変えます。


皆さん自身が事業者の立場になって考えてみてください。

どのような人材を採用したいと思いますか?


病気の有無に関わらず、採用に関して重視すべきは「会社にとってメリットをもたらす人材であるか否か」だと思います。


国の難病患者の就労支援のひとつとして、事業者向けのパンフレットが作成されています。



でもですよ、パンフレット見ただけで「それじゃあうちも雇ってみるか」となりますか。ならないでしょう普通は。



事業主は、聞き慣れない病気であれば採用に躊躇するかもしれません。


だからこそ、持病を抱えながら働いている我々は一生懸命働いて成果を出す必要があります。

難病を抱えていてもここまで出来るのだと。

それが、結果的に最も効率的な啓発活動になります。

私は学生が就職活動するときに、できるだけ苦労しなくてもいいように社会的認知度を上げたいと考えています。


私が以前面接した会社は

「クライアントと食事をする機会があります。その時あなたは食事を残すんですか?」

「職員で焼肉に行く事が多いですが、大丈夫ですか?」
と聞かれました。


就職活動ではこのような場面に遭遇する事もあると思います。

客観的にみれば、病気という「弱み」があるなら、それを上回る「強み(資格・実績)」をつけることが大切です。


私は社会人になってからクローン病を発症しました。

それでも転職についてハンディはありますが、社会人は資格や前職の実績をアピールする事で就職活動する事ができます。

しかし、学生はそのようなアピールが難しいこともあります。

留年等は、履歴書を見ると分かりますから、その事について聞かれる事もあると思います。

「病気がある」というだけではマイナス要素です。

その「弱み」が「強み」に変えられるひとつの方法として、障害者手帳の取得があると思います。


私は、現在の経腸栄養を条件とする障害者手帳の規定に違和感を覚えます。

(クローン病は小腸機能障害に該当します。)


規定では「等級表4級に該当する障害は、小腸切除または小腸疾患により永続的に小腸機能の著しい低下があり、かつ、通常の経口による栄養摂取では栄養維持が困難となるため、随時中心静脈栄養法又は経腸栄養法で行う必要があるものをいう。」とあります。

分かりやすく、クローン病に当てはめるなら、「経腸栄養をしていれば身体障害者手帳4級に該当します。」と解釈できます。


しかし、クローン病患者で医学的問題で(例えば嚥下障害などがあって)栄養剤が飲めないと言う事はあまりないと思います。考えられるのは、味がどうしても嫌で経口摂取できない(したくない)人が多いでしょう。

私は抵抗があったのは最初だけでした。発症して7年間は経口摂取していました。すると、このようなケースは上記の規定に該当しないので、障害者手帳の取得が出来ないことになります。


事実、以前に経口摂取の状態で申請して断られました。


申請却下の理由は「経口で摂取出来ているため規定に該当しません」と書いてありました。



というように、現段階ではエレンタールを飲めたほうが損をするというおかしな状況になっています。


障害の程度の認定には、身体状況だけでなく、その人のQOL(生活の質)を考えるべきでしょう。


以前も書きましたが、経口すると言う事は一日中栄養剤を持っていなければならないということです。

経腸栄養法の方が日中の活動自由度は大きいことになります。

ひとつの視点だけで障害者の社会的保障を判断する事は、このようなパラドックスを引き起こす事につながります。


ただ、身体障害者手帳は「病名」ではなくて、「医学的視点による身体状況」に基づく認定なので、現状を変えるとすれば難病に関する制度(難病手帳など)の方を変更するほうが効率的かもしれません。



近年では、「障害者」の規定に難病患者も含まれるようになったため、一刻も早い雇用対策を希望します。



(つづく)



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