2023ー24WEリーグカップ グループA 第4節
三菱重工浦和レッズレディース 2ー1(前半0–0)勝
得点者
48分 柳瀬楓菜 53分 小川愛
スターティングメンバー
GK 木稲瑠那
DF 近賀ゆかり 左山桃子 市瀬千里 島袋奈美恵
MF 小川愛 柳瀬楓菜 渡邊真衣
FW 松本茉奈加 髙橋美夕紀 中嶋淑乃
選手交代
HT 近賀→ 藤生 58分 市瀬→呉屋 83分 柳瀬→ 上野 90分 松本→立花
戦 評
前節ホームで僅差ながらも相模原を零封し、連勝を3に伸ばした我がReginaはグループAの中で最も実力のある浦和と決勝進出をかけアウェイで激突した。
浦和はメンバー、戦術共にWEリーグでNo.1のチームであることは疑いのないところであるが、W杯に中心となる3選手を送り出していたためにチームの仕上がりとしてはまだまだと言ったところだろう。特に昨季はケガのために長期欠場していた高橋選手が復帰してきたセンターバックのコンビネーションについてはつけ入る隙があるように思われる。
Reginaとしてはこれまで武器としてきたサイド攻撃に加え、中盤から素早くパスを繋いでバイタルエリアもしくはペナルティエリア脇のポケットをうまく活用した攻撃で先制点を挙げたいところだ。前線への飛び出しに強みを見せる柳瀬選手や戦術眼に優れ、その時々に適切なプレーを選択できる渡邊選手と前線でボールを受けるのがうまい高橋選手とのコンビネーションからの得点に期待したい。
ゲームは開始1分にいきなり動いた。市瀬選手得意のロングフィードを高橋選手が処理を誤り、裏を狙っていた中嶋選手がGKと1体1の形に持ち込んだ。この場面は浦和GKの福田選手が見事に防いだが、Reginaの選手たちにはこの試合行けると思った瞬間だっではなかったのではないだろうか。その後は浦和がボールを支配し、優位にゲームを進めるが、Reginaもしっかりとブロックを固め、決定機を作らせなかった。そのまま前半戦は終了となった。
後半浦和は塩越選手に代えて島田選手、Reginaは近賀選手に代えて藤生選手を投入した。迎えた48分左サイドでの中嶋選手の突破を阻んだ後の浦和のクリアを藤生選手がペナルティエリア角付近にいた渡邊選手にワンタッチで繋いだ。このワンタッチが実に素晴らしかった。ワンタッチでパスをもらった渡邊選手は狙いすました鋭いミドルシュートを放つが、またもや福田選手の好守に阻まれた。そしてこのコーナーキックから先制点が生まれた。スピードと鋭さに定評のある小川選手のボールが動き出しで工夫し、なでしこの石川選手のマークをうまく外した左山選手にわたるとワンタッチでゴール前の柳瀬選手に繋がる。柳瀬選手は巧みなトラップで伊藤選手を外すと強烈なシュートをゴールに叩き込んだ。
その5分後左サイドに飛び出した柳瀬選手のドリブルに浦和の選手がファールを犯す。場所はペナルティエリア角から5m後ろ。誰もが小川選手は中に合わせるボールを入れると思っただろう。しかし小川選手の右足から放たれた鋭いキックはこれまで好守を見せていた福田選手の意表を突き、ニアサイドのポストギリギリに突き刺さる。小川選手のキックはストレート系でスピードがあり、味方には合わせやすいボールであるが、ここでは直接ゴールを狙い、見事にGKとの駆け引きに勝利した。リーグカップで小川選手のもともと持っていたポテンシャルが一気に花開いたと言える。
今季のReginaの一番素晴らしいところは1点に満足せず果敢に追加点を取りに行くところだと思っている。この試合でも1点を守ろうとせず、2点目を取れたことが最大の勝因だと思う。浦和に1点を返されたが、それは想定内であり、選手たちも慌てず時間を進めることができていた。いいサッカーを展開したチームが順当に決勝に進んだことが何よりも嬉しいことである。
各選手採点一覧
(10点満点、基準点は6、あくまで管理人の主観による採点である)
GK 1 木稲瑠那 6
失点の場面はほぼノーチャンスであった。ゲームを通して非常に安定したプレーで、チームに落ち着きをもたらした。
DF 10 近賀ゆかり 6
安藤選手とのレジェンド同士のマッチアップを優位に進めることができた。安定感はさすがである。
DF 6 左山桃子 6
菅澤選手との競り合いには苦労していたが、決定的なチャンスは作らせなかった。1点目のアシストは見事であった。
DF 4 市瀬千里 6、5
前線へのフィードが効果的で、攻撃の第一歩としての貢献が大きい。浦和の攻撃にも引かずに前で狙う守備を最後まで続けていた。
DF 20 島袋奈美恵 6
サイドバックとして定着し、安定感のあるプレーでチームに貢献した。さらに得意の攻撃面での飛躍が期待される。
MF 9 渡邊真衣 6
中盤の前目のポジションでボールをよく引き出し、攻撃の起点となっていた。派手なプレーはしないが、チームの一人いるととても助かる選手である。
MF 15 小川愛 7
アンカーとしての守備での貢献、攻撃での起点としての働きに加えてセットプレーからの得点と一段成長した姿を見せた。
MF 23 柳瀬楓菜 6、5
WEリーグ初得点は意外だったが、いつも得点の一つ前の絡みでチームに大きく貢献してきた。初得点で一気に得点力を開花させる可能性がある。
FW 26 松本茉奈加 5、5
攻撃でのサイド起点と相手サイドバックの攻め上がりを抑える役割を全うした。もっと強引な突破があってもいい。
FW 17 髙橋美夕紀 6
劣勢が予想される中で前線でためを作り、攻め上がりの時間を稼いだ。シュートに持っていくのがうまく、相手DFにとっては厄介な存在である。
FW 11 中嶋淑乃 6
相手DFからかなり警戒されており、思ったように突破することはできなかったが、守備での貢献は大きかった。立ち上がりのチャンスの抜け出しは素晴らしかったので、ぜひ決めたい場面であった。
交代選手
DF 藤生 菜摘 6、5
対人にも強さを発揮し、対面の清家選手にも自由にプレーさせなかった。攻撃面でもいいものを持っているようなので、中島選手とのコンビを練り上げたいところである。
DF 呉屋絵里子 6、5
市瀬選手のけいれんのため急遽出場したが、冷静なプレーぶりでディフェンスラインに落ち着きをもたらした。最後の一歩が出るので、ピンチにも対応することができる。
MF 上野真美 ※出場時間が短く、評価不能
FW 立花葉 ※出場時間が短く、評価不能
監督 中村 伸 6、5
昨季とは打って変わって1点を取っても攻撃の勢いを緩めず追加点を狙いにいく姿勢がチームに推進力をもたらしている。交代のタイミングも早くなっていて、それが好成績の原動力となっている。