~プロローグ ユウ視点~

 

 中三の冬…俺はこの世を去ることになった。

 俺たちは、近所でも有名な仲のいい「ダブルトリオ」だ。
もともとは、女子のカナ、ミキ、ユミ。男子のユウ、レン、リュウで仲が良かった。
いつからか、一緒に居るようになって、ずっと一緒に居た。これからもずっと…この関係は変わらないと…俺たちは思っていた。
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 あれは、合格発表の日のことだ。俺たちは、それぞれ学力も異なるにもかかわらず、無謀にも六人同じ高校を受けようと決めた。六人の中で、その高校を受けるにあたって、厳しいと判断されていたのは、カナ、ユウ、ユミの三人だった。レン、リュウ、ミキは余裕でもう少し上を目指してもいいくらいだった。私たちは、それぞれマンツーマン指導で猛勉強した。それでも、試験を受けるにあたって不安なことばかりだった。
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 「それなら、推薦を受けてみればいい」と担任に提案され、一次試験に向けて勉強は怠らず、なお、推薦という可能性も取り入れ、入試に及んだ。推薦を受け、合格したのは…ユミとカナだった。ユミは、集団討論と面接で点を取り、カナは、面接と得意の作文で点を取lったた。しかし、俺は集団討論も作文も苦手で俺一人、不合格だった…。二人の合格を喜ぶにも喜べないまま、一次試験が刻々と迫っていた。
推薦で合格したユミとカナを除く、俺たちは一次試験に向けて猛勉強をした。一次試験、それぞれが気合を入れ、推薦に受かった二人が見守る中、俺たちは入試に及んだ。
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 結果発表の日、推薦組は残念ながらお留守番…のはずだったが、どうしても、結果が気になったユミとカナは、親に頼み込み、学校を欠席し、俺たちの発表に同行した。
結果は、全員合格!! 俺は、喜びのあまり、リュウとレンに飛びついた。二人に、「良かったな」と言われた後、危ないと怒られた。興奮も治まり、報告に行く前に、祝杯をあげようということで食事をすることになった。もちろん、担任には報告は食事の後、すぐ行くと伝え、了承も得ての結論だった。

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 あの時、カナがあの場に居なかったら…。あの時、食事の前に報告に行ってたら…。俺はずっと君の傍に居れたのだろうか…。けれど、あの時、君を守れてよかった…。