キハ85系のラストランを5日後に控えた6月25日のこと、私は2日間限定で運行された「ありがとうキハ85系南紀」号の雄姿をファインダーに収めるべく新宮駅にいました
通常、この手の企画は定期運用終了後に行われることが多いのですが、「ありがとうキハ85系ひだ」号の時と同じく、引退を直前に控えての日程…6/24・6/25…で1往復ずつ運行されました
いつもは閑散としている新宮駅も、この日ばかりはカメラをぶら下げた人間でごった返しており、定刻の12時44分に名古屋方面から満員のお客さんを乗せた「ありがとうキハ85系南紀」号が到着しました
僅か1分間ではありましたが、「南紀」6号名古屋行きが3番のりばに停車していたため、通常ダイヤでは有り得ないキハ85系同士の共演を、確とこの目に焼き付けておきました
キハ85系の引退を前にして2日間に渡って運行された「ありがとうキハ85系南紀」号ですが、注目ポイントはキロ85形を編成両端に連結した豪華編成で運行された点です
もともと、「南紀」用として1992年に登場した全室グリーン車のキロ85形ですが、利用が芳しくなかったこともあって2001年春改正時に「ひだ」へコンバートされてしまいました
その代わり、「南紀」には繁忙期に限って「ひだ」用の半室グリーン車のキロハ84形が連結されるようになりました
2008年春改正でキロハ84形が通年で連結されるようになったものの、コロナ禍による需要の減退で2020年10月いっぱいで再びグリーン車は連結されなくなり、とうとう復活することなくHC85系へバトンを受け渡すことになりました
この特別運行のために仕立てられた編成は、名古屋方から
キロ85‐3+キハ84‐203+キハ85‐1209+キハ84‐303+キハ84‐204+キロ85‐4
の6両編成でした
残念ながらトップナンバー車ばかりで揃えることは叶いませんでしたが、1号車から4号車にかけての編成は「南紀」号にキハ85系が投入された当初の編成が再現されており、JR東海の同車に対する”愛”がひしひしと感じられました
「南紀」用として生を受けながら、その人生のうち2/3を高山本線で過ごすことになったキロ85形
最後の最後に生まれ故郷を走ることになった彼は、何を思っていることでしょうか?
新宮駅構内で、僚友であるパンダくろしおと顔を合わせました
かつての顔馴染みであった381系は、一足早くにこの地を去りました
新宮駅で発車を見送ってもよかったのですが、熊野川の鉄橋を渡るシーンも記録しておきたくて、対岸の紀宝町へやって来ました
新宮駅からクルマで10分弱の距離で、レンタサイクルでも来られる距離なので、撮影者は非常に多かったです
「ありがとうキハ85系南紀」号でやって来たお客さんを名古屋まで乗せて帰るために、この日は8004D「南紀」84号の運転日でした
せっかくなので、少しアングルを変えて、キハ85系の流麗な先頭車両を強調するように撮ってみました
キハ85系が紀勢本線を去ってから、早いもので2ヶ月が過ぎました
最新鋭車両のHC85系も徐々に沿線の景色に馴染みつつあるような気がしますが、それでもキハ85系とほぼ同い年の管理人からすれば、あのエンジン音とふかふかの座席が恋しくなってしまうんですよね
次回の記事では、6月30日のキハ85系定期運行最終日の様子をお伝えしようと思います