↑前回からつづく↑

 

 

 

旭川駅からキハ183系「オホーツク」2号に揺られて、お昼前の札幌駅へ戻ってきました

冬の北海道を訪れたのは今回が初めてですが、駅のホームは風が通り抜けるせいなのか、街中よりも段違いに寒いです

 

いよいよ本旅行の主目的ともいえるキハ283系に乗車するわけですが、6往復運行されている「おおぞら」のうち、2020年春改正で3往復にキハ261系が投入されました

キハ283系の運用で残る「おおぞら」は、下りが1,7,9号、上りが4,6,12号の3往復です

 

当初の計画では、札幌14:15発の7号で釧路まで向かい、翌朝の4号で戻って来る予定でしたが、年末のUターンラッシュで7号はハザ、ロザ共に満席でした

そこで、札幌で時間を持て余すことを承知で、仕方なく私は9号のロザを確保したわけです

 

しかし、この日はキハ283系が車両トラブルを起こし、本来はキハ283系で運行されるはずの「おおぞら」7号に急遽キハ261系が充当されたため、どうやら結果オーライだったようです

それでは、「おおぞら」9号の発車まで時間があるので、ステラプレイスや地下街を散策しましょう

 

 

「散策しましょう」と言っても、さすがに人混みの地下街の写真なんかは撮ってないので、札幌駅の全景写真でも載せておきます

 

 

 

管理人がカメラを向けるのは鉄道だけに限りません

とりあえず乗り物なら何でも好きなので、札幌駅前を行き交うバスも記録しておきます

 

札幌市電の雪ミク電車は有名ですが、じょうてつバスには雪ミクバスがあるんですね

 

 

 

こちらは北海道中央バスのいすゞ・ガーラです

長距離仕様なので、札幌駅から函館や釧路といった道内各地の主要都市に高速バス路線に充当されている車両と思われます

 

 

同じくいすゞのガーラですが、こちらは北紋バス仕様です

社名の北紋は「北見紋別」を略したもので、紋別~札幌間で「高速流氷もんべつ」号が運行されています

撮りバスをしても、まだ時間に余裕があったので時計台やテレビ塔を見物しつつ、三越のある大通付近まで歩いてみることにしました

 

 

訪問する予定はまったくなかったのですが、人生4度目の北海道にして初めての札幌時計台です

もともとは札幌農学校の演武場として1878年に建設されたもので、1階が研究室や講義室、2階は講堂として入学式や兵式訓練が行われてそうです

建設当初、時計は設置されていませんでしたが、完成から3年後の1881年にアメリカから取り寄せた時計が据え付けられました

 

 

時計台が初めてなら、こちらも見物するのは初めてのテレビ塔です

正式名称は「さっぽろテレビ塔」で、完成したのは1957年と、東京タワーの1年先輩にあたります

 

高さは147.2mで、完成当初は目立っていたであろうテレビ塔も周りを高層ビル群に取り囲まれて、若干窮屈そうです

 

 

札幌PARCOの横にある西四丁目停留所で寒さに震えながら、撮り鉄タイムです

Wikiでこの停留所のことを調べてみると、ここが路面電車の駅としては日本最北に位置しています

 

写真の8510形は、8500形の増備車として1987年に製造された車両です

登場年からは信じられませんが、ベースになった8500形ともどもVVVFインバータ制御を採用しています
 

 

せっかく札幌まで来たので、久しぶりに大通→さっぽろの1区間だけですが、札幌市営地下鉄に乗車しました

札幌の地下鉄に乗るのは6年半ぶりですが、ゴムタイヤ駆動なので相変わらず独特の走行音です

 

 

札幌市交通局のロゴマークは、STを図案化したもので、1993年に制定されたものです

四色で構成されているのは、三路線ある地下鉄のラインカラーと札幌市電を表したものかと思いきや、青は北国の青空、オレンジは暖かい市民のふれあいといったように、きちんと意味が与えられています

 

 

南北線で運用されている5000形ですが、2018年より行先・車内案内表示器が三色LEDからフルカラーLEDへ改造が進んでおり、現在ではどうやら全編成の改造工事が完了しているみたいです

さっぽろ駅を越えた途端に、突然駅名が個性を失い、北●条駅が4駅連続するのがいかにも札幌らしいです

 

 

帯広に着いた後、セコマで夕食を調達しようと思っていたのですが、昼食がサンドイッチだけだったので、猛烈にお腹が空いてきました

とりあえず「札幌へ来たからにはスープカレー」だろうと、ステラプレイスの天馬というお店に入ったのですが、後で調べてみたら日本レストランシステムが運営しているチェーン店で、本州にもお店がありました

 

札幌くんだりまでやって来て、チェーン店へ入ってしまうあたり、まだまだ修行が足りないと思った次第です

さっきまで私のいた札幌三越や札幌PARCOの近くに、かの有名店であるGARAKUがあったのに…と思ったところで、もう後の祭りですね

 

んで、夕食を食べるつもりなんか無くて、札幌市内をぶらぶらと散策していたせいで、「おおぞら」9号の発車時刻が間近に迫ってきました

しかも、自分の荷物を預けたコインロッカーの場所が分からなくなってしまい、車内へ乗り込んだ時には発車2分前でした

 

とりあえず間に合ったからよかったものの、これで間に合わなかったら後悔を残すことになったでしょう

 

乗車路線:千歳線,石勝線,根室本線

乗車区間:札幌1729発→帯広2016着

乗車列車:おおぞら9号(4009D)

乗車車両:釧クシ283系気動車キロ282-3(2号車3番D席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

 

そんなこんなで、出発前にゆっくり車体をスナップする余裕もなく、前日に撮影した写真の使い回しで申し訳ありませんが、「おおぞら」9号の車上の人となり、帯広を目指します

長年乗りたいと思っていたキハ283系との邂逅を、登場から四半世紀近くを経てようやく果たしました

 

 

いつもは車内に乗客が少なくなったタイミングを見計らって、こそこそっと車内の様子を撮影しているのですが、「おおぞら」の場合は帯広までの利用者が多いため、車内の隅々まで記録できていません

ただし、グリーン車の座席については前回までに紹介したキハ183系やキハ281系とまったく同じものを搭載しているので、詳細は割愛します

 

改座前は、JR九州の787系と並んで在来線最強と謳われていたキハ283系のグリーン車

ヘッドレストピローやフットレストはもちろんのこと、オーディオユニットに加え、電動のリクライニングやレッグレストまで備えた豪華な座席でした

できれば、その時代に一度乗ってみたかったですね

 

 

車掌室はベースになったキハ281系と同じくオープンカウンター式で、ダウンライトがアッパークラスのデッキに相応しい落ち着いた雰囲気です

 

 

キハ282形2000番台車のデッキには、縦長の窓が特徴的なミニラウンジがあります

かつては、灰皿が置かれ喫煙スペースとして機能していましたが、いまは全車禁煙のためタバコはNGです

 

JR九州の885系にも似たようなフリースペースがありますが、振り子車であるが故に、この縦長の窓から景色を眺めていたら、酔ってしまいそうです

実際に、885系では登場からしばらくして、下方に目隠しが設けられました

 

 

キハ283系においても指定席車を中心に”グレードアップ座席”への換装が進んでいることから、登場当初からの丹頂鶴をあしらったモケットのまま残る車両は僅かしかありません

この日の「おおぞら」9号は7両編成でしたが、6号車だけが丹頂鶴モケットでした

 

 

アームレスト周りにJR東海の383系と共通項が見て取れますが、バックレストなんかはJR北海道オリジナルっぽいですね

シートピッチは960㎜で、きちんとフットレストまで備わってる真面目さは素直に高評価です

 

 

この車両は、2001年に製造された5次車なので、4次車までと比べると背面テーブルが大型化されており、座席肩部のハンドグリップも形状が半円型に変更されています

ハンドグリップの赤は丹頂鶴の頭部を表現していると思われ、細部までいたるまで道東らしさが表現されたインテリアになっています

 

 

 

トイレはすべて洋式となっており、個室内に洗面台が併設されています

個室内に洗面台が配される構造はキハ281系も同様で、おそらく機器スペースに面積を割かれた結果、独立した洗面所を設けるのが難しかったのでしょう

 

これら振り子DC特急車よりも先に登場した785系では、独立した洗面所が設けられているので、仕方ない事情があったのでしょう

 

 

札幌から2時間47分で道東の主要都市である帯広に到着し、「おおぞら」9号からも多くのお客さんが下車しました

せっかくなので、釧路まで行きたかったところですが、釧路着が22時とあっては体力的に厳しいものがあるので、今晩は帯広で一夜を明かすことにします

 

それにしても、いつ見てもキハ283系のスタイリングは惚れ惚れするカッコよさですね

キハ261系と違って、振り子車ならではの絞り込まれた車体コンタと縦長に配された灯具類が、見る者にシャープな印象を与えます

 

 

釧路市の人口が16万人を下回ったことから、帯広は道内で5番目に人口の多い都市となっています

 

 

1987年に廃線となった旧広尾線の愛国駅や幸福駅へは、帯広駅から十勝バスで行くことができます

 

 

道央と道東をショートカットする路線として生まれた石勝線は1981年10月に開通し、2021年には開業40周年を迎えました

「おおぞら」や「とかち」が高速バスや航空機といったライバルたちと戦っていく上で、その重要性は揺らぐことはありません

 

 

コンコースを歩いてホテルへ向かおうとしていると、牛乳オンリーの自販機を発見し、さすがは酪農王国十勝だと思った次第

 

 

その近くには十勝地サイダーの自販機もありました

ビンは嵩むので結局買わなかったのですが、後でネットで調べてみると、池田白ぶどうや更別すももなど複数のフレーバーがあって、こちらもなかなか美味しそうです

 

本当は最終日の新千歳空港で荷物を送るつもりだったのですが、結局この日のホテルで荷造りをすることになったので、何本か買っておけばよかったなぁ

 

 

ホテルに荷物を預けて一休みした後は、マイナス10℃の帯広駅前を徘徊していました

みんなが紅白歌合戦に夢中になってる時間帯に何をやってるんだろうと思わなくもないですが、ホテルの部屋でテレビを見ているよりかは知らない街を散策する方が楽しいですよね

 

 

ホテル日航ノースランド帯広で一夜を明かして、本日は2022年1月1日でございます

それでは、元旦だからといって一切お正月らしいことはせずに、乗り鉄を敢行します

 

乗車路線:根室本線,石勝線

乗車区間:帯広0953発→南千歳1150着

乗車列車:おおぞら4号(4004D)

乗車車両:釧クシ283系気動車キロ282(2号車6番A席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

もちろん帰りもキハ283系が充当される便を選んでいます

帯広駅は両側の1,4番のりばが本線の扱いになっており、当駅始発の「とかち」は3番のりばから出ることが多いようです

 

 

さて、これまで一言も記事内で言及していなかったのですが、キハ283系といえば、重低音で唸るエンジン音が特徴的です

多種多様な気動車が発着する札幌駅で、キハ283系の姿は視認できなくても、そのエンジン音さえ聞けば存在が分かるほどで、私のようにそのエンジン音に魅入られるファンは多いはずです

 

JR四国の2000系から発展・進化を遂げた振り子DC特急車たちですが、どの車両もコマツ製の直列6気筒E/gを搭載しています

キハ283系には、JR四国の2000系や智頭急行のHOT7000系、京都丹後鉄道のKTR8000形と同じ排気量11LのN-DMF11HZAが2基搭載されています

 

JR東日本とJR北海道は、コマツの形式付番であるSA6D125Hを使用せずに、国鉄の規則に従ってN-DMF11という形式が与えられていますが、呼称が異なるだけでモノは同じです

上記三車種と一昨日乗ったキハ281系は、やはり同系統のコマツ製エンジンを搭載しているので、床下からは聞き覚えのあるエンジン音が耳に入ってきます

 

ところが、キハ283系はよくあるタービンのキーンという金属音は聞こえず、ひたすら低音で唸り続けるエンジン音が特徴的です

時折、加速しているにもかかわらず、急にこの音が小さくなる時があり、実際に乗車してみると不思議な感覚に陥ります

 

どうやらその理由はサービス用電源の供給に際して、走行用エンジンで油圧ポンプを駆動させて、さらにそのパワーで油圧モーターを定速回転させる独特の発電方式にあるようです

ネットで調べてもはっきりとした理由は分からず、Wikiにあった下記リンクから富士電機のレポートにキハ283系についての記述がありました

 

詳しく知りたい方は、下記URLからどうぞ

https://felib.fujielectric.co.jp/docfetch2/CustomContentBrowse.aspx?dataid=68382788&version=0&site=japan&lang=ja

 

 

 

帯広駅を出発してから30分ほどで新得駅に到着しました

ここでは国鉄一般形気動車標準色(朱色4号+クリーム4号)を身に纏ったキハ40形がいました

 

 

トマムでは「おおぞら」3号と離合する関係で数分間停車するので、ホームへ降りてみました

ホームにはこんもりと雪が積もっていますが、凍結しているわけではないので、注意深く歩けば滑ることはありません

 

キハ283系そのものは23年春のダイヤ改正より「オホーツク」「大雪」で復活を遂げましたが、グリーン車であるキロ282形は転用されることなく、全車廃車の憂き目に遭いました

何となくホーム上から写したキロ282形の姿が貴重なカットになってしまいました

 

 

定刻より数分遅れて札幌からの「おおぞら」3号が到着しました

あと2ヶ月半で去ってしまう先輩と、「おおぞら」の命運を託された後輩はどんな言葉を交わしたことでしょうか?

 

 

長大トンネルの連続する石勝線ですが、トンネルとトンネルの間からは、写真のように樹氷に覆われた木々が幻想的な美しさには得も言われぬものがありますね

 

いま走っている石勝線内で、2011年にキハ283系が脱線・炎上する痛ましい事故発生しました

鉄道工学が専門ではないので、詳細は割愛しますが、炎に包まれて変わり果てた姿になった同車の姿にショックを受けた人も多かったことでしょう

 

その後、JR北海道では事故やトラブルが相次いで発生し、130㎞/h運転が行われていた特急列車については120㎞/hへ引き下げる措置が講じられました

しかし、キハ283系だけは20㎞/hの引き下げが断行され、最高速度はキハ183系よりも低い110㎞/hに抑えられました

 

一説では、軽量化を進め過ぎた車体であるが故に、剛性が不足しているのが原因とされています

キハ283系の変速機は変速1段直結4段となっていますが、直結3速から直結4速へのシフトアップは110㎞/h以上で行われるため、最高速度が引き下げられた2013年11月以降トップギアは封印された状態がいまも続いています

 

最高速度が110㎞/hになったといっても、石勝線内の走りっぷりは十分に疾走感のあるものでしたが、130㎞/h時代はもっと凄かったんでしょうね

 

 

他社の車両では、停車駅の案内は「次は●●」や「まもなく●●」のように車内LEDにスクロールされるだけですが、JR北海道の特急車両では、デフォルメされた車両のイラストが現在地を直感的に分かりやすく乗客に教えてくれます

 

 

キハ283系のエンジン音に酔いしれていると、約2時間の乗車時間はあっという間に過ぎ去り、後ろ髪を引かれる思いで南千歳駅へ降り立ちました

最後は、北海道を象った石勝線の0キロポストを絡めた構図でキハ283系を見送りました

 

後は、新千歳空港から関空へひとっ飛びするはずが、大波乱に巻き込まれることになります

~年越し北海道旅行記2021-2022⑨~大波乱の北海道脱出編へつづく~