休館前にどうしても志摩マリンランドへ行きたくなったよっちゃんは、2月の半ばどんよりとした雲に覆われた賢島駅へと降り立ちました
かわいいペンギン達やゆらゆら泳ぐマンボウに癒されて、1時間ほどで志摩マリンランドの見学を終えて、建物の外へ出てきました
最後にもう1度、当館のシンボルである巨大マンボウ像を目に焼き付けて、志摩マリンランドを後にしました
さて、ここから四日市までは近鉄ご自慢の観光特急「しまかぜ」で移動します
ホームへ入ると、これから私の乗車すると名古屋行きと大阪難波行きの列車が仲良く並んで停車中です
登場当初は、その近鉄特急らしからぬ奇抜なスタイリングに加えて、全車プレミアムカーという突き抜けたコンセプトに度肝を抜かれたものです
登場から5年以上が経過し、さらにコロナ禍であっても、車内の座席はほとんど埋まっているのですから、「しまかぜ」人気の高さには驚くばかりです
斜体側面に描かれたエンブレムは、志摩に吹く風の爽やかさをイメージしています
観光列車のロゴというと、近鉄も含めて無闇矢鱈に横文字を書き連ねるスタイルが多数を占めるなか、こちらは堂々の平仮名が採用されています
ところで、800系新幹線が登場した当初も、車体側面には平仮名で大きく”つばめ”と書かれており、これを見た私はその時と同じような新鮮さを覚えました
また、子どもにとってもこちらの方が読みやすいと思います
数時間前に鳥羽で焼き牡蠣やらあさりやらをたらふく食べたせいで、ちょうど体が甘いモノを欲していたので、カフェカーでケーキセット(1,120円)をいただくことにしました
難波・京都・名古屋を発着する便がそれぞれ1往復ずつ運行されている「しまかぜ」ですが、カフェカーで提供されるケーキセットも発着駅によって異なるパティスリーが手掛けています
今回乗車した名古屋発着便では、名古屋市の瑞穂区に店を構える”Chez KOBE”のケーキをいただくことができます
「しまかぜ」のカフェカーは何度か利用していますが、ケーキセットを頼んだのは今回が初めてで、しかも普段は縁のない名古屋発着便なわけですから、否応なく期待は膨らみます
このケーキセットのケーキは数に限りがある上に、賢島駅で補充することはできない…難波・京都・名古屋で積み込むため…売り切れていることが少なくないです
今回は時節柄利用客が少ないのか、復路にあたる便なのにケーキが残っており、写真のクレオクールと名付けられたハート型のケーキを頼んでみました
せっかく食べたのに、解説の載っているメニュー表の写真を撮り忘れたので、私の感想だけを申し上げると抜群に美味しかったです
見ての通り、ベリー系のコンフィチュールでコーティングされたケーキの中にホワイトチョコレートムースを忍ばせており、紅茶との相性も抜群です
少々値段はお高めですが、車窓を眺めながら、温かい紅茶と共にスイーツをいただけるのあれば、1,120円が安く感じてしまいます
ちなみに、ケーキセットを注文すると、漏れなくミニマドレーヌが2つ付いてくるのですが、これは家に帰ってから電子レンジで少々温める方がいいですね
「しまかぜ」に揺られて、近鉄四日市駅までやって来ました
終点の名古屋まで乗ってもよかったのですが、どうしても名古屋は土地勘がなく、駅から一歩外に出ると迷ってしまうので、今宵の宿は近鉄四日市駅にほど近い都ホテル四日市にしました
少々、古さを感じるホテルですが、さすが都ホテルなだけあって防音性はばっちりで、朝までぐっすり眠ることができました
旅2日目の朝を迎えました
曇りがちだった昨日と比べて今日は澄み渡る快晴です
当初の予定では、このままホテルからJRの四日市駅へ向かい、「南紀」3号で帰途につく予定でしたが、せっかくここまで来たので再び「しまかぜ」に揺られて賢島を目指すことにしました
「しまかぜ」に乗ったら乗ったで、自ずとカフェカーへ足が向いてしまいます
松阪牛カレーと松阪牛重は食べたことがあるので、今回は海の幸ピラフ(1,500円)を注文しました
松阪牛カレーや松阪牛重も、”食堂車”で食べていることを忘れてしまいそうな高い完成度を誇っていましたが、こちらも市中の飲食店にまったく引けを取らない美味しさでした
食べ終わる頃には、他のお客さんがいなくなったので、ゆっくりと1階席を見学してみました
「しまかぜ」のカフェカーを利用するのは通算4回目ですが、いずれも2階席で1階席は初めての利用だったのですが、揺れはこちらの方が断然少ないですね
その代わり、お世辞にも眺めがいいとは言えないので、前面展望を放映するLCDが壁に設置されています
鳥羽を過ぎると、車窓からは時おり海を望むことができます
これまでの近鉄特急の伝統をかなぐり捨てて登場した「しまかぜ」ですが、客室ドアに施された波状の模様にアーバンライナーから脈々と受け継がれてきた近鉄特急特有のデザインコードを見て取ることができます
客室ドア鴨井部には22インチLCDが設置されており、停車駅案内のみならず観光案内や前面展望なんかも流れてきます
21020系で初採用されたLCDですが、その後に登場した22600系はLEDに戻り、50000系では両先頭車がLEDで中間車はLEDという折衷案が採用されています
「しまかぜ」のプレミアムシートは、降りたくない、もっと乗っていたいと誰もが思う高い居住性を誇っています
これでJRのグリーン料金よりもはるかに安い追加料金で、エグゼクティヴ気分が味わえるのですから、人気が高いのも頷けます
数少ない欠点は、皮なので座席の表面がツルツルと滑ることくらいでしょうか?
近鉄の特急車輌では、「ひのとり」でさえも間合いで阪奈特急の運用に入ることがありますが、「しまかぜ」の場合は登場から一貫して伊勢志摩への観光輸送のみを担っている点に大きな特徴があります
賢島駅の線路容量の関係から、折り返すまでの間はいったん鳥羽駅まで回送で戻るようになっており、ダイヤさえ分かれば、鳥羽駅でゆっくり停車中の姿を撮影することができます
一昨年も「伊勢志摩ライナー」に乗りたくてこの駅までやって来たのですが、その時はこの建物の写真を撮り損ねてしまいました
賢島駅の南口の横に、一見何の変哲もない小屋のような建物が建っていますが、何を隠そうこの建物は志摩電気鉄道がこの地に開通した時から建っている初代賢島駅に他なりません
しかも、志摩電気鉄道が近鉄に買収され、標準軌へと改軌された後も普通列車専用のホーム・駅舎として現役だったわけですから驚きです
1993年に賢島駅の改良工事が完成すると共に、この駅舎も使われなくなってしまったわけですが、現役だった時の姿をこの目で見てみたかったものです
賢島駅の改札口で当たり前のように観光客を出迎えていた志摩マリンランドの看板も、その役割をあと1ヶ月少々で終えようとしています
特に賢島で用事もなければ時間もない…お昼の「南紀」に乗って帰らないといけない…ので、わずか30分の滞在時間を終えて大阪難波行きの特急に乗り込みました
京都にいた頃は、奈良へ通院していた関係で、しょっちゅうビスタカーのお世話になっていましたが、かなり久しぶり乗ったような気がします
せっかくのビスタカーなので、2階席を予約したのですが、先ほどまで乗車していた「しまかぜ」のプレミアムシートと比べると、クッションの硬さがダイレクトに臀部に響きます
22600系と同じ座席なので、完成度が低いわけではないのですが、比べる相手が「しまかぜ」ではさすがに分が悪いですよね
鳥羽駅では、いったん賢島から引き上げてきた「しまかぜ」と並びました
両車共に、伊勢志摩への観光客輸送を主眼に置いて開発された車両ですが、その設計思想が大きく異なることは車両を見ても一目瞭然です
「しまかぜ」最大のトピックは、30000系以来久々となる2階建て車両が組み込まれたことでしょうか?
近鉄伝統のダブルデッカーは、30000系を経て50000系にも引き継がれました
賢島から1時間ほどで、松阪に到着しました
きっぷと駅弁を手配して、4番のりばで「南紀」5号紀伊勝浦行きの到着を待ちます
途中、紀伊長島駅では小休止を挟みつつ、列車は紀勢東線を順調に南下していきます
定刻通り終点紀伊勝浦に到着しました
この後、車内清掃を終えて折り返し紀伊勝浦17:11発の「南紀」8号名古屋行きとなります
帰宅後は夕食に松阪駅名物のあら竹謹製の元祖特選牛肉弁当をいただきました
消費税5%の時代は1,260円で買えたのですが、いつの間にか1,500円に値上がりしており、ちょっぴり財布へのダメージが大きくなりました
フタを開けると、牛肉弁当が誕生した経緯が詳しく書かれており、調整元のこの駅弁に対する想いが伝わってきます
値段はずいぶんとお高くなりましたが、相変わらず非の打ち所がない駅弁ですね
牛肉がメインの駅弁なので、そればかりが注目されがちなこの駅弁ですが、お米が冷めてもふっくら柔らかいところも美点の1つだと思います
以上で2回に渡ってお伝えした伊勢志摩’21は完結となります
最後までご覧下さりありがとうございました