乗車日:2019/11/08
乗車路線:近鉄吉野・南大阪線
乗車区間:吉野16:34発→大阪阿部野橋17:52着
乗車列車:さくらライナー
乗車車両:26000系SL02編成モ26202(3号車8番A席)
座席種別:デラックスシート
前回、近鉄ご自慢の観光特急「青のシンフォニー」に揺られて吉野駅の到着したよっちゃん
できれば復路も「青のシンフォニー」に乗りたかったのですが、何せ乗ろうと思い立ったのが当日だったことと、団体客が多かったため特急券が確保できませんでした
確かに、吉野駅を夕方に出発する便は、当駅発16時04分と1日観光を楽しんで帰るにはちょうどいい時間帯ですが、まさか平日でここまで混んでいるとは思いませんでした
「青のシンフォニー」に乗る時は、事前に特急券を確保しておいた方がよさそうですね
ということで、帰りはおよそ4年ぶりとなる「さくらライナー」に乗り込みます
「青のシンフォニー」の登場によって吉野特急の看板列車たる役割を譲り渡した感も強いですが、気品溢れる淡いピンクを纏ったお姫様のようなエクステリアは色褪せていません
3号車にDXシート車が連結されている関係で、吉野特急の中から「さくらライナー」の運用を見つけるのはそれほど難しいことではありません
この列車の場合、レギュラーシートでも十分に快適なのですが、追加料金がわずか210円なので、帰りもDXシートにしました
4年前にも1度このDXシートを利用したことがあるのですが、正直に言って”微妙”だったので利用するかどうか迷いました
しかし、1人利用であれば隣に誰も来ることのないA席は利用価値がありますし、何よりも普通車に比べて定員が少ないため、静かな移動空間…利用者のモラルにもよる…が約束されています
何だかんだ言って、こうしてカメラ片手に車内をウロウロしている私のような人間が一番迷惑な存在かもしれませんが…
まず、こちらが1人がけの座席です
同じ吉野行きの列車で比べた場合、1人がけ席は「青のシンフォニー」だと進行方向に向かって左側ですが、「さくらライナー」では右側になるので注意が必要です
「さくらライナー」のDXシート車は、2011年にリニューアル工事が施工された際に普通車からの格上げ改造によって誕生しました
シートピッチは元から1050mmだったので、JRの改造車・リニューアル車にありがちな窓枠で景色が遮られるような座席は存在しません
こちらは2人がけの座席です
シルエットは「アーバンライナー」のDXシートとよく似ていますが、背面テーブルの有無が大きな相違点です
普通車から改造されてることもあって、天井や照明の構造は変わりませんが、”Made in Yoshino”をテーマに構築された空間が普通車とは明らかに異なる世界観を打ち出しています
網棚は吉野産ヒノキのパネルに彩られ、補助照明のカバーにはこちらも同じく吉野産の和紙を挟み込んで、はんなりとした和の空間を醸し出しています
リニューアル前と変わらず、網棚の上に補助照明が設置されていますが、683系の読書灯と同じように客が自由に点灯/消灯を行うことのできる構造になっています
網棚下部にスイッチが付いていますが、一応点灯状態がデフォルトみたいですね
さて、この「さくらライナー」のDXシートですが、1つ大きな不満点があります
これは「アーバンライナー」のDXシートにもいえることですが、3アブレスト配置とはいえ、各座席が独立している関係でそれほど座席は大きいとはいえません
定規を持ち込んで正確に計測したわけではないのですが、普通席と比べてもさほど座席の横幅は大きくなっていないはずです
さっきまで乗っていた「青のシンフォニー」に比べると、どうしても窮屈さを感じてしまいます
おそらく、近鉄サイドとしてはアッパークラスに相応しいプライバシー性を提供するために、各座席を独立させているのかもしれません
しかし、座席に間に無駄なスペースを作るくらいなら、少しでも横幅に還元して欲しいところです
幸いなことに、ヘッドレストピローが程よい弾力で快適なのと、最近の座席は臀部をしっかり落とせるようになっているので、座席のホールド性は悪くありません
ところが、座面とバックレストはアッパークラスにあるまじき硬さで、モケットの触感もリサイクル性を考慮しているのか、張りが強くビニールのザラつきが強く感じられます
付帯設備として、上下に稼働するヘッドレストピロー,インアームテーブル,背面テーブル,フットレスト,コンセントが各席に設置されており、追加料金が210円であることを考えると、”おもてなし”の充実ぶりには目を見張るばかりです
なお、普通車では2席につき1個しか設けられていないコンセントが、DXシートでは各席につき1個ずつ設けられています
フットレストは普通車とまったく同じ構造なので、あまり格差は感じられませんが、靴を脱いで寛げるのは嬉しいですよね
「さくらライナー」のDXシート車に乗った時は、こちらの車端部に施された装飾も見逃せません
妻壁を彩る吉野の桜をモチーフにした飾り照明はもはやアートで、近鉄のセンス溢れる匠の技が光ります
近鉄の匠の技が光る車内ですが、青の協奏曲の上質で落ち着いた車内の比べると、やはりこちらはあくまでも”普通”の特急といった印象を強く受けます
「さくらライナー」に乗ったからには、ずっと自席に座っているのはもったいないので、大和上市駅付近で展望デッキへ向かいました
単線で、しかも狭軌なので、あまり近鉄らしさが感じられないのも吉野線の魅力だと思います
こうして、先頭車両から前面展望を眺めていると、南海高野線とどことなく雰囲気が似通っていますね
どちらの路線も単線の山岳路線という点が共通していますが、線形は高野線と比べて吉野線の方が恵まれていることは言うまでもないですし、沿線人口もこちらの方が多い印象を受けます
離合する列車を手に取るように眺められるのは、「青のシンフォニー」では不可能な芸当で吉野特急の中では「さくらライナー」だけに許された特権です
16600系も前が見えなくはありませんが、どうしても貫通扉が設置されている関係で、眺望性については雲泥の差があります
終点の大阪阿部野橋に到着しました
ちょうど時刻は18時になろうとしているところで、ラッシュ時の只中にある駅は家路を急ぐ帰宅客が輻輳しており、写真を撮ることもままなりません
「さくらライナー」もすぐさま折り返しの準備を整えると、ドアが再び開き三々五々と通勤客が集まってきました
26000系は吉野特急では珍しい4両固定編成ですが、ラッシュ時にはその輸送力を遺憾なく発揮しているようです
やがて発車時刻となりドアが閉まった後に、オッサンが一人新聞紙を振って合図をしていたのですが、列車に乗りたい(乗り遅れた)のでしょうか?
すぐに一旦は閉じた列車のドアが開き、オッサンは無事に乗車できたわけですが、こうした配慮も関西の私鉄ならでは…なのでしょうか?
かつて、阪和電鉄では発車時刻を過ぎても、改札に利用客が残っている場合は電車の発車を遅らせていたらしいので、今も昔もこうした光景はよくあるのかもしれません
以上、近鉄特急「さくらライナー」DXシート乗車記でした
今回も最後までご覧下さり、ありがとうございました。