4月下旬のことになりますが、京都から大阪まで大回り乗車を敢行してきました
休日に梅田へ夕食を食べにいこうかと思ったのですが、普通にJRの新快速や京阪・阪急を利用するだけでは面白くありません
そもそも移動することに楽しさを求めること自体がおかしいのかもしれませんが、刺激を求めて大回り乗車を行うことにしました
大回り乗車とはいっても、大都市近郊区間内で初乗りきっぷを使用したわけではなく、ごくごく普通の乗車券を買い求めての大回りです
これはつまり、素直に京都から大阪へ行く場合や、初乗りきっぷで大回りする場合と比べて、時間もお金も嵩むという最高に意味の分からない行為ですが、鉄ヲタの行動パターンなんて大概そんなものです
まず、今回のルートを説明すると、京都から山陰本線,播但線,山陽新幹線,東海道本線を経由し、寄り道をしながら約7時間かけて大阪へ向かいます
新快速に乗車すれば所要時間は僅かに28分で済むところを、わざわざ7時間かけて向かうのですから、これほどロックなことはありません
折しも、平成があと1週間で終わろうかというタイミングでしたので、日帰りとはいえ、図らずもこれが平成最後の乗り鉄となりました
それでは、いつものように京都駅から旅を始めることにしましょう
前編では、京都から途中の和田山までの旅程を紹介したいと思います
京都から福知山までは、京都丹後鉄道のKTR8000形”丹後の海”が使用される「はしだて」5号に乗車します
福知山までは1時間24分の旅路となります
エンジンの真上に座りたかったので、指定席を押さえていなかったのですが、幸先よく自由席のいい場所に空席を見つけることができました
287系が充当される「はしだて」が4両なのに対して、丹後の海が充当される「はしだて」はたった2両しか連結されていないため、車内はインバウンド観光客や用務客でかなり混雑している印象を受けます
私の隣の席もすぐに埋まりましたし、すぐ後ろのフリースペースもめいめいに寛ぐインバウンド観光客で埋め尽くされています
やはり京都と天橋立という観光地をダイレクトに結ぶ列車であることから、インバウンド観光客の利用が多いのも頷けます
ただ、3年前の3月にまったく同じ列車に乗車していますが、ここまでインバウンド観光客が多かったようには記憶していません
日本の観光地がインバウンド観光客頼みであることをまざまざと見せつけられたような気分です
着席すると、窓間に小さな絵が飾られています
特定の箇所に飾られているわけではなく、すべての窓間に絵が飾らており、内装も相まって居心地のよいカフェにいるようですね
タンゴディスカバリー時代に無機質だった内装は、水戸岡マジックによって徹底的にリニューアルされており、かつての雰囲気は微塵も感じられません
天然木を多用した車内は温もりに溢れ、天井のスポットライトからは暖かな光が降り注ぎます
車内の雰囲気は申し分ないのですが、約20年前に製造された車両だからなのか、それとも足回りのメンテナンスがなおざりになっているのか、車端部でもないのにローリングが酷いです
JR四国の8600系のように吹っ飛ばされるような酷さではありませんが、それでも気を付けないと、通路を歩く時に思わずよろめきそうになります
それと、リニューアル時に座席のモケットやクッション材が交換された結果、バックレストが不自然に分割されており、これがまたお世辞にも快適とは言えません
バックレストに背中を預けると、この分割された部分がゴツゴツと背中に当たるような感触になるので、ある意味人を選ぶ座席と言えなくもありません
デッキ部にも水戸岡氏の手によるイラストが掲出されており、目的地までの車中を飽きることなく過ごすことができます
客室内については、富士山ビュー特急など近年の水戸岡氏が手掛けた車両と共通の仕上がりとなっていますが、デッキ部については黒を基調に、簾のカーテンが設置されており、こちらは九州新幹線800系に近い仕上がりになっています
13時33分に綾部に到着しました
ここで後ろ2両の「まいづる」5号東舞鶴行きを切り離します
この丹後の海が充当される「まいづる」号に関しては、丹鉄の車両でありながら丹鉄線内を一切走行せず、さらにはディーゼルカーでありながら非電化区間を一切走行しないというなかなか面白い運用となっています
福知山駅での乗り換え時間が1分しかないので、綾部駅での解結時間が貴重な撮影タイムとなります
太陽光がブルーメタリックの車体に反射してより一層の輝きを放っています
折り返しのため比較的長時間停車する京都駅では、天井が覆い被さっていることもあって、こうして太陽と青空の下でこの車両を撮影することはできないんですよね
(▲※和田山駅到着後に撮影)
私の乗車した「はしだて」5号は定刻通り13時49分に福知山へ到着しました
ここで「こうのとり」9号の城崎温泉行きに乗り換えます
福知山から和田山までは特急で30分に満たない乗車時間であり、別に鈍行を利用しても差し支えありません
ただし、鈍行の本数が少ないため、福知山→和田山間を鈍行で移動すると、和田山から先の播但線を経由する「はまかぜ」4号に乗車できなくなってしまいます
ですので、福知山で鈍行に乗り換える場合と比べると、特急料金は430円高くなりますが、この区間の移動に課金する価値は十二分にあると言えます
福知山で乗り換えた「こうのとり」号ですが、車両は「くろしお」号でいつもお世話になっている287系です
なので、特にここで改めて何か言うことも無いのですが、丹後の海から乗り換えると車内の無機質さに驚かされます
客室内にまったくと言っていいほど飾り気がなく、どこまでも果てしなくシンプルに纏められています
同じくJR西日本の681系や283系は、シンプルながらも温かみのある内装となっていますが、この287系からは寒々しい印象を抱いてしまいます
おそらく、681系のように網棚に飾り照明が無かったり、化粧板の配色が暖色系ではないことが要因かと思われますが、700系B編成のように内装面で何かと拘りのあったJR西日本はどこへ行ってしまったのかと首を傾げたくなります
丹後の海のような遊び心をJR西日本に求めるつもりはありませんが、城崎や天橋立といった観光地へアクセスする列車として物足りなさを感じてしまうのは私だけでしょうか
これについては、白浜という関西きっての観光地を擁する「くろしお」についても同じことが言えると思います
ただ、内装面で不満は残るものの、肝心の座席については悪くありません
座面は硬いものの、さきほどまで乗車していた丹後の海と比較して、バックレストの形状が”素直”なので、安心して背中を預けることができます
また、KTR8000系287系へ乗り換えると、同車の揺れの少なさや静粛性に高さに驚かされます
全電動車方式であるが故に、287系も決して静粛性の高い車両ではありませんが、さすがにディーゼルカーであるKTR8000系から乗り換えると、その差は歴然としています
和田山に着くと、1912年に建設された機関区がお出迎えです
貴重な産業遺産であることは確かですが、いまのところ一般公開を行うような計画は皆無のようですね
こうした除雪用のモーターカーを見ると、ここが雪国であることを実感させてくれますね
改札口の前には、当駅を発着する列車たちのペーパークラフトが飾られています
ちょこんと床に置かれている姿がとても愛くるしいですね
当駅が位置する兵庫県朝来市は、天空の城として名高い竹田城跡を有することで有名です
その観光資源をPRする狙いもあってか、竹田城跡も模型も飾られていますが、ミニチュアではそれほど迫力は感じられません
改札口の横には、鳥取駅の”中の人”作のイラストが掲出されていました
どうやら最近では山陰地区に留まらず、JR西日本の管内全域に氏のイラストが進出しているようですね
次に乗車する「はまかぜ」4号の発車時刻まで少し時間あることですし、せっかく和田山まで来たので、駅前をちょっと散策したいと思います
後編では、和田山から大阪までの旅程を執筆する予定です
…ぐるっと一周関西の旅(後編)へ続く…