近江鉄道ミュージアムへの訪問を終え、長浜でお目当ての芋きんつばを購入してから、長浜駅へと戻ってきました
当地での滞在時間はわずかに1時間半ほどでしたが、長浜には見どころも多いので、またの機会にゆっくり観光したいと思います

長浜駅を17時57分に発車する新快速に乗り込み、今しがたやって来た道を引き返すようにして、一旦米原へ戻ります

イメージ 1

それほど京都から遠く離れているわけではありませんが、関西エリアでは異質の存在であるJR東海の車両が遠出した気分にさせてくれますね
ちなみに、この日米原駅で時刻表を眺めていて、米原↔浜松間を直通する列車が設定されていることを初めて知りました

米原から発車する上り列車の最東端が豊橋だと思っていただけに、実に意外な発見でした
とはいえ、土休日限定でなおかつ1日2往復の設定なので、お目にかかれる機会は少なそうです

さて、ここから京都へ戻る場合、安く行きたいのであれば新快速、速く行きたいのであれば新幹線の利用が一般的です

しかも、さっき長浜から乗車した新快速は播州赤穂行きなので、そのまま乗っていれば何の問題も無く京都まで連れて行ってくれます
しかし、このまま新快速で帰るとなると、せっかくのお出かけなのに、旅行気分が盛り上がりません

もし、新幹線に乗るのであれば、米原駅を18時14分に発車する「こだま」665号もあります
この列車は、徐々に数を減らしつつある700系で、しかも私の大好きなB編成が充当される列車です

「こだま」665号の存在が気にならないと言えばウソになりますが、いかんせん米原からでは、乗車時間わずか20分で京都に着いてしまいます
そんな短時間の乗車では、絶対に乗り鉄を楽しんだ気分にもならないので、ここは1日1往復しか走っていない貴重な大阪ひだに乗って京都へ帰りたいと思います

イメージ 2

乗車路線:東海道本線
乗車区間:米原1823発→京都1917着
乗車列車:特急(ワイドビュー)ひだ36号(2036D)
乗車車両:海ナコ85系キハ85-203(4号車5番D席)
座席種別:普通車指定席(eきっぷ利用)

ところで、新快速と「ひだ」36号で所要時間を比べてみると、実はあまり大差がありません
大差が無いどころか、米原→京都間で前者は53分、後者は54分なので新快速の方が1分速いんですよね

かくして、追加料金1180円を支払い、新快速と所要時間に大差のない特急列車に乗車するという一般人からすれば到底理解できないような乗り鉄を敢行することになりました
ちょうどディーゼル特急に乗りたい気分だったので、たまにはこういう乗り鉄も悪くはありません

しかも、ここ最近JR他社線またがりの旅客列車はめっきり数を減らしてしまいました
国鉄時代から連綿と続く伝統であった大阪しなのが16年春改正であっけなく消滅してしまったことを考えると、この大阪ひだも決して安穏としてはいられません

イメージ 6

滋賀県湖北地方特有の凍えるように吹き荒ぶ寒風に身悶えながら、「ひだ」号の4号車乗車口で列車の到着を待ちます
ちなみに、この湖北地方に吹く寒風のことを”いぶき”と呼ぶそうですね

イメージ 5

米原到着時に方向幕の写真を撮り忘れたので、以前に京都駅で撮影した写真で代用しています
キハ85系が登場した頃は、まだまだLEDが普及していなかったこともあって、方向幕には幕式が採用されています(※1)

イメージ 4
この日の「ひだ」36号の4号車には、キハ85-203が連結されていました

イメージ 3

イメージ 11

4号車の指定席に乗り込むと、貸切…ではなく、私と同じようにこの列車へ”狙って”乗車している乗り鉄の方が、私と同じように米原→京都間で利用していました
土曜日ということもあって、1~3号車は行楽客で賑わっており、決して乗車率は悪くありません

しかし、この4号車に関しては、よほど混雑が酷くない限り、最後まで発券されないようになっているのか、米原到着時点では無人でした
結果として、この日の4号車は利用客が乗り鉄2名という何とも笑うに笑えない様相を呈しています

ところで、キハ85系には88年から90年にかけて「ひだ」用として新造された1次車と92年に「南紀」用として新造された2次車の2グループが存在しています
01年春のダイヤ改正で、それまで「南紀」運用専従だったキロ85形を含む2次車が「ひだ」へコンバートされました

キハ85系には帰省ついでに「南紀」へ年に数回必ず乗車していますが、現在の運用では専ら1次車が充当されており、2次車が「南紀」に充当されることはほとんどありません

16年のGWに地元からUターンした際に乗車した「南紀」6号の5号車に2次車であるキハ84形300番台が連結されていたので、この時に指定席課金すべきだったのかもしれません
こうして、ずっと2次車に乗りたい、1次車と乗り比べがしてみたいと思っていたのですが、なかなか機会に恵まれませんでした

そこで私が目を付けたのが、1日1往復運転されている大阪ひだです
大阪ひだは土日を中心に1両増結されて4両で運行されていますが、その様子をTwitterYouTubeで確認してみると、4号車にほぼ必ずと言っていいほど2次車であるキハ85形200番台車が連結されています

キハ85形1100番台車と異なり、バリアフリー対応設備が未設置(※2)であることから繁忙期の増結用車両としての任が主に与えられているようです
だからこそ今回、敢えて土曜日の大阪ひだの4号車に狙って乗車してみたわけです

米原を定刻通りに発車すると、力強いエンジン音と共にすっかり日の落ちた琵琶湖線内を加速していきます
一昨年くらいから、「南紀」で1次車に乗ると、先頭車両の排気管付近からビビリ音のような異音が聞こえてくるのですが、2次車はまだ経年が浅いせいか、エンジン始動時に軽く車体が振動するだけで異音は聞こえてきません

念願叶ってキハ85系の2次車に乗車することができましたが、スジが寝ているせいでエンジンの勇ましい力行音をあまり聞けないのが残念です
以前、高山から草津まで「ひだ」36号に乗った時にも感じましたが、米原以西ではかなりスジが寝ており、通過駅であってもホームに立っている人の顔がはっきり分かるくらいゆっくり走る区間もあります

停車駅の多い新快速に追いつかないために、致し方ないのかもしれませんが、もう少しダイヤに一工夫欲しいところです
草津以西が複々線なので、ここで先行する新快速を追い抜くことも不可能ではないはずです

それに、どうせゆっくり走らせるのであれば、琵琶湖線内で急行時代に停車していた石山や近江八幡、彦根といった主要駅にも停車させて、少しでも利便性を向上させた方がよいのではないでしょうか

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

イメージ 10

イメージ 12

イメージ 13

それでは、ここで2次車の座席をチェックしてみます
2次車の座席はフレームこそ1次車と同じですが、1次車で見られたシートバックのバックシェルがモケットに変更されており、座り心地も少し異なります

1次車は張りのある柔らかさなのに対して、2次車はふかふかと沈み込む柔らかさとなっています
昨今の鉄道車両にありがちな硬い座席に慣れると、どちらも驚くほど快適なのですが、私はどちらかと言うと1次車の座り心地の方が好きです

なお、2次車であっても1次車と変わらず、全車カーペット敷き、全席フットレスト付きとなっています
今のご時世からは考えられませんが、バブル世代生まれだからこそのハイグレード仕様といえます

イメージ 20

基本的に1次車と内装は共通ですが、2次車に特有の設備として、こちらの窓枠間に設置されたミニテーブルが挙げられます
座席を向い合せにした時でも、ペットボトルくらいなら置けるようになっており、ちらりとJR東海の良心を感じ取ることができます

イメージ 15

イメージ 14
▲▲/▲(参考画像)1次車の普通車車内

イメージ 16

客室内はJR東海の在来線特急車両らしく、恐ろしいほどにモノトーンで統一されています
ご覧の通り、妻壁にも色気はおろか飾りっ気さえまったく感じられません

イメージ 17

登場年次を反映してか、キハ85形200番台車のトイレは和式となっています
インバウンド観光客の増加に伴い、キハ85系の和式トイレは順次洋式化されていますが、主に増結用となっているこの200番台車にも工事は波及するのでしょうか

イメージ 18
3号車の連結面では「ひだ」のヘッドマークを間近で拝むことができます

イメージ 19

米原から架線下DC特急の旅を堪能することおよそ1時間…京都に到着しました

1次車の登場から30年、2次車の登場からも26年が経過していますが、普通車でも床にカーペットが敷かれ、シートピッチが1000mm確保されている上に、フットレストまで設置されているので居住性はすこぶる良好です
既に後継車両の登場もアナウンスされていますが、ハード・ソフトの両面でキハ85系は日本の鉄道史上に名を残す名車に違いありません

まだまだカミンズエンジンの音が聞き足りなかったので、19年正月のUターンでは「くろしお」ではなく「南紀」に乗車しています
その時、キハ85形のトップナンバーに乗ることができたので、また後日乗車記をしたためたいと思います

全4編に渡った近江鉄道ミュージアム訪問記はこれにて完結です
最後までご拝読下さいましてありがとうございました



※1…試作車の方向幕は、号車・座席種別表示がLED式
※2…キハ85形200番台車のうち、キハ85-209のみバリアフリー化工事が施工された上でキハ85-1209に改番