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▲太地駅に到着した283系「オーシャンアロー」21号(撮影17/08/11)

来年の春、つまり18年春のダイヤ改正でオーシャンアローが新宮への乗り入れを中止する見通しとなりました
同車の老朽化に伴い、少しでも負担を軽減する意味合いがあるのか、来春以降は白浜くろしおにのみ充当される公算が高くなりました

ここ最近、振り子のエラーやモーターの故障、それにパンタグラフの不調など故障や不具合が頻発しているオーシャンアロー
きのくに線の看板列車としての務めを20年以上に渡って果たしてきましたが、その疲れがあちこちに見え始めています

帰省の際に年に数回のペースでオーシャンアローに乗車する機会がありますが、正直あと何年現役に留まるのだろうかと心配でなりませんでした
おそらく、北陸新幹線が敦賀まで開業する2023年に余剰となる68×系列で置き換えるだろうと予測はしていましたが、まさかここにきて新宮までの運行が取り止めになるとは思いもよりませんでした

ましてや、和歌山県を資金を拠出し、せっかく制御付き振り子車用のATS地上子を整備したにもかかわらず、特急は非振り子車ばかりとなりオーシャンアローが白浜以南から撤退するとなれば、一体何のための紀勢本線高速化事業だったのかと疑問に思わざるを得ません

また、オーシャンアローが白浜以南から撤退するだけに留まらず、来春のダイヤ改正では新宮くろしおが1往復削減され、6往復に減便される見込みで、白浜以南では特急が9往復から7往復に削減された11年春改正以来の減量ダイヤ改正となりそうです

17年度の紀勢本線活性化促進協議会の模様を伝えた紀南新聞によると、16年の白浜~串本間における「くろしお」の利用客数は04年比で55%にまで落ち込んでいます

この数字は、紀伊半島大水害できのくに特急が3ヵ月にも渡る長期の運休を強いられた11年を下回るものです
その原因が15年夏にすさみ南ICまで開通した紀勢道にあることは間違いなく、熊野地方の過疎化や少子高齢化も相って、新宮くろしおの命脈もいよいよ尽き果てた感が強くなってきました

一連の情報はTwitter上の噂話というわけではなく、和歌山県庁から発せられた総合交通政策課課長名義でのメルマガで明らかになったものです
今回の件で、和歌山県も相当危機感を持っているようですが、そもそもきのくに線沿線の自治体が鉄道の高速化よりも高速道路の建設ばかりを求めている現状では如何ともし難いものがあります

きのくに線の白浜~新宮間の輸送密度は1100~1200人ほどでしかなく、国鉄時代ならば特定地方交通線に指定され、廃止になっていてもおかしくはない数字です
だからこそ、自治体の協力が重要になってくると思うのですが、まがりなりも収支が黒字であるJR西にそう簡単に資金を拠出することはまかりならないのでしょうか

もし、この情報通りに来春のダイヤ改正が行われると思うと、早くも気分が落ち込むばかりです
オーシャンアローが新宮くろしおから撤退した場合、その穴を287系が埋めることが予想されます

ただし、コストダウンが如実に目立ち、リゾートムードの欠片も感じられない内外装の287系でオーシャンアローを置き換えるなどということは断じて容認できません
せめて、287系よりも居住性に優れる289系を新宮くろしおに充当して欲しいと願うばかりです

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▲新宮駅に進入する「オーシャンアロー」9号(撮影15/04/30)
今後の状況次第では、過去帳入りする光景になるやもしれません