イメージ 1
▲札幌駅で発車を待つ団臨8002レ
HMが取り付けられていないので撮り鉄からの人気はいま一つ

本日、大阪駅と札幌駅を発車した列車で、トワイライトは25年あまりの歴史に幕を下ろしました
「人気があるのになぜ…!?」との声が多いせいか、関西ローカル情報番組でこの点について触れている局が多かったのですが、本質を突いた解説を行っている局がなかったので、整理してみようと思います

まずは、JR西も言っているように車両が老朽化していること
これは誰にも否定できません

更新をかけてから13年、トワイライトとして登場してから25年、製造からは40年を経ているので、古さは否めません
そして、「今後も運行を継続しようとすると、北海道新幹線との関係で莫大な投資が必要になるので廃止になった」、と報道している局がほとんどでした

ここが根本的に間違えているのですが、莫大な投資が必要となるのは、青函トンネル区間を抱えるJR北の方であって、JR西ではありません
確かに、今後もEF81と24系を使い続けるわけにはいかないので、車両更新は必要だと思いますが、瑞風を製造をするだけの余力はあるので、資金的な問題はクリアできます

しかも、客車方式にこだわなければ、私が以前から指摘しているように、四季島に採用予定のEDCなら、青森以北の新在供用区間や非電化区間も自走できるので、JR旅客会社が新規に高価な機関車を導入することなくトワイライトを存続させることは可能です(※)

インタビューに答えていたJR西の社員によると、あくまでも車両の老朽化が引退理由であって、北陸・北海道新幹線とは無関係だと強調していましたが、それならトワイライトのラストランがダイヤ改正日前日の3月13日ではなく、3月12日になったのか説明がつきません
もしこれらの新幹線が原因ではないとするならば、JR西管内の団臨などというケチな運用に充てるのではなく、検査期限が切れるまで大阪~札幌間で運行すべきです

ところで、明後日開業する三セク会社の中でもえちご鉄道の場合は、輸送量が少ない上に交直セクションが存在しているため、肥薩おれんじ鉄道と同様、電車に代わって気動車を導入する予定です
電化設備はカモレ専用となり、線路使用料と合わせてこの維持費もJRFからえちご鉄道へ支払われるわけですが、そこへJR西の電気機関車が牽引するトワイライトが乗り入れると、電化設備の使用料の計算が複雑になります

えちご鉄道区間に関してはJR西とJRFとの間で調整すれば問題ないし、他の三セク区間も調整がつけば運行は可能だったと思います
ただ、車両は古いし、いずれにせよ北海道新幹線が新函館まで開業すれば廃止にしないといけないので、今春廃止という決断にいたったのでしょう

上記のように、技術的に新型車両の導入が可能だとしても、車両を製造・維持管理するJR西の運賃・料金収入は、並行在来線の三セク化に伴い減少します
8年後には、北陸新幹線が敦賀まで開業するので、さらにJR西の取り分は減ってしまうことになります

なので、廃止のもっとも大きな要因は北陸新幹線の開業というよりも、北陸新幹線の開業に伴って北陸本線が三セク化された結果、トワイライトを運転してもJR西にカネが入ってこなくなるから、というのが適切かもしれません

部外者でも分かる理由を当のJR西自身が認めようとしない姿勢には非常に憤りを感じますし、トワイライトの運行に直接携わっている社員・スタッフさん方との間に温度差のようなものも感じます

経営的に見れば、何もJR西とっての旗艦列車がトワイライトである必要性はまったくないとでも言いたげな社員の表情を見ていると、この会社の列車に乗る気が失せてきます

瑞風にここまでの人気は出ないでしょう
走っている場所が違うだけで、ななつ星やら四季島やらと同じようなコンセプトを持って走るわけですから、独自性がまったく感じられません
JR西にはJR西にしかできないことをやって欲しいものです

2015年3月12日は日本の鉄道から未来が失われた日

※北海道への乗り入れを視野に入れていることから、四季島は青函トンネル内を自走できる仕様になっているものと思われます