「嵐の前の静けさ」


気がつけばもう、1年の折り返し地点の7月

である。


で、あと2週間もすれば世間は夏休みだ。

毎年この「日本一の過疎県」にも連日、全国

津々浦々から家族連れの宿泊客が大挙して

押し寄せて来る。


去年の夏休み期間中は、旅館の仕事はかなり

大変だった。

こちら(清掃員サイド)は主力メンバーの産休

や退職ラッシュで大幅な戦力ダウンだった

にも関わらず、旅館側はそんな事お構いなし

でバカスカ宿泊客をぶち込んでいった。


家族連れがメインということで、もともと

ベッドのみの2人部屋のベッドを撤去し、

狭い2人部屋に家族5人を宿泊させるという

パターンが殆どで、当然、夜の布団敷きの

枚数も、チェックアウトした後の部屋の惨状

も、残して帰ったゴミの処分も、平常時とは

比較にならない悲惨さだった。


毎年、同じ流れで、尚且つ去年は戦力ダウン

の人手不足なのだから、大変になるのは早く

からわかっていたにも関わらず、会社は全く

対策を立てておらず、結局、9月までほぼ

休日なし、休憩なし、そして廃人寸前まで

こき使われたのに、1円の寸志も手当も

出なかった。


旅館側も、こちらの立場が弱く、断われない

というのがわかっているので、要求が常に

エスカレートしてゆき、何と今年は、

1人一泊5万円はするであろうVIPルームを

4部屋もリニューアルオープンさせた。

勿論、準備から後片付けまで、ほとんど

全て、下請けの清掃員に丸投げ前提である。

…ただし、客のチェックイン直前の、入念な

チェックだけは支配人がちゃんと徹底する

というw ムキー


ただ、不幸中の幸いというか、ゴールデン

ウィークが終わったあたりから、客足が

ガクッと落ちて、日々の作業にも余裕が出来

、何と6月からほぼ全員が週休2日で休める

ようになっていた。

まあ、夏休みが始まればこんなゆっくりは

出来ないだろうけど、流石に今年は、ウチの

清掃会社も、来るべき夏休みに向け対策を

立てていた。

現在、週に2日も休めているのは、旅館の

客足が落ち着いているだけでなく、会社の

この取り組みによる成果でもあるのだ。


果たしてその取り組みとはいかに⁉



(つづく)



まさか白鳥が助っ人に?!