タイトル通り、犯罪心理分析の本です。
特に数年前より目立ってきた少年犯罪に焦点を当てて書かれています。
"マニュアル"とある事からも分かるように、専門書ではなく実用書という感じで非常に読みやすいです。

1章 人はなぜ犯罪を犯すのか?
2章 急増、凶悪・低年齢化する少年犯罪
3章 精神鑑定
4章 プロファイリング

というような内容で、具体的事例も織り交ぜながら書かれています。
ワイドショー等でも聞いた事のある話が、犯罪心理の面から結構詳しく解説されていたりします。

犯罪心理に関しての多くの項目(攻撃性と脳のメカニズムや犯罪の分類、精神鑑定など)がそれぞれコンパクトに纏められていて、図の使い方も大変理解を深めるのに効果的です。
この薄さ(親書サイズで約240頁)にも関わらず、単なる用語説明だけではないしっかりとした内容になっています。

ただ多少心理学を齧った経験のある人間としては、短く纏めようとするあまりに説明がやや不十分な箇所もあって、そのまま鵜呑みにされると危険だなと感じる部分もありました。
(「生来性犯罪説」や「犯罪の遺伝」といった内容です)
心理学や社会学は、一歩使い方を間違えるととんでもない偏見や差別を生むという性質も持っています。
何故なら、これらは多数派を正常とみなす学問であり、人間を正常と異常に分ける学問だからです。
学問自体はそれを目的としている訳ではないのですけど…


しかしまぁ、堅苦しい感じではありませんし、入門書としてはいいのではないでしょうか。
(今は入手困難なようですが…2000年発行なのになぁ)