えー、何と紹介するのが正しいのでしょうか?
WEB上で公開されていた日記を纏めたものですが、ご本人は「乙一≠小生」と主張されています。
つまり、日記ではあるけれども、書いたのは乙一氏であってそうではない…実際に起こった出来事を"小生"の視点で日記に起こしているという感じでしょうか?
いやちょっと違うかな…うーむ。説明し難い。

内容はとにかくぶっ飛んでます!
部屋に溜まった空き缶ゴミを捨てるために旅に出たり、13日の金曜日に3人のジェイソンと遭遇したり。
ただ、100%嘘という訳でもなく、実際に乙一氏がサイン会を行った時の話やご友人と遊んだ話等、真実も織りまぜつつ書かれていて、どれが本当でどれが嘘かを考えながら読むのも楽しいです。
また、乙一氏自身の手による注釈もかなり面白いです。

ご本人が始めに書かれていますが「もっとためになるような、講談社ブルーバックスとかにお金を出した方がよい」という言葉は決して大袈裟ではない気もします。
特に乙一作品を初めて読む人がこれを一番に手に取るのはいかがなものかと…
知らずに読むと、ただのアブナイ人だと思いかねません(笑)
しかし、乙一氏のファンならば是非読んでみて頂きたいです。
まず文章自体が魅力的ですし、日記の中から生まれた作品もあるようですから、きっと楽しめます。

僕はクリスマスの日記の、
──家中の靴下を引っ張り出してきて確認したが、どれも空っぽだった
という切ない最後の一文で、著書のみならず乙一氏ご自身の大ファンになってしまいました。

ところで、日記中の「今後は本名で本を出すことになりました」という記述は真実なのでしょうか。それとも、"小生"の言葉なのでしょうか…謎の多い日記です。