分類はファンタジーになる、らしいです。
体の弱い若だんなと、若だんなを慕う犬神や鳴家や屏風のぞき等の妖(あやかし)達が、力を合わせて連続殺人を解決する話です。

ええハイ、また妖怪ですよ(笑)
鳴家や見越し入道等々、京極氏の作品で見かけた妖怪が沢山出てるのですが、この作品では妖怪達は「そこに在るもの」として描かれています。
※京極氏の『豆腐小僧』に於いて、妖怪は人が居るから存在する"概念"と説明されています。

若だんなと碁を打ったり、食事をしたり、店の手代を務めたり、襲いかかる暴漢から若だんなを救ったり…こちらの妖怪達は大活躍です。
そんな若だんなと妖怪達の日常生活だけでも興味深いのですが、そこで起こる事件もまた非常に面白く書かれています。
始めは偶然遭遇しただけかに思えた事件が、やがて若だんなの出生の秘密まで絡んだ壮大な事件へと発展してゆくのです。

決してミステリーではありませんが、事件だけを追っても最後まで飽きる事なく読めると思います。
因みに"しゃばけ"とは「娑婆気…俗世間における名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心」のことだそうです。