新選組ものです。新選組は知れば知る程謎が増えて、奥が深いです。
この作品は一度廃盤になったものが、ファンの要望で再版されるようになったもののようですね。
今年は特に新選組流行ってますしねぇ。
因みに洛中篇を始めとして、戊辰篇、激闘篇、落日篇、函館篇の全5冊で成っています。
土方歳三の生涯を通して新選組を描いた作品です。(土方寄りなのはやや在りがちか…)

この作品の面白さは、単なる歴史ものとして描くだけではなく、元盗人の「忠助」という人物を土方の片腕として使う事(潜入捜査等)によって有名な池田屋事件や蛤御門の変等を全く違う見せ方をしている所です。
また同じ新選組の話の中でも特に文体が現代のものに近くて、全5冊の量も全く苦になりません。
1987年に書かれたらしいのですが、僕は何度も最近書かれたかのような錯覚に陥りました。

人気人物とも云える沖田総司や山崎焏も非常に魅力的な人物に描かれています。
司馬や子母澤の新選組ものとは違った魅力のある作品で、大満足でした。

個人的には、『激闘篇』の山南脱走の辺りがとても好きです。
実は追っ手は土方だったという話で、男同士の最期のやりとりが泣かせます。
大河ドラマで興味を持った方は、『風雲録』から入るのもいいかもしれませんね。